精神疾患への理解促進に取り組むNPO法人シルバーリボンジャパンの代表 関 茂樹さん 泉区在住 34歳
ゆっくりでいい、まず一歩
○…うつ病、アルツハイマー病、自閉症など、脳や心に起因する疾患はさまざま。身近な家族からの理解も得られず、社会から距離を置いて生活を送る人も少なくない。「疾患・障害があっても少しずつ前に進んでいける。将来社会を支える力になり得る貴重な人材なんです」と訴える。
○…当事者の社会復帰と社会の理解促進を目的に、昨年4月、就労継続支援B型事業所「ゆめが丘DC」を開所した。畳のへりを使ったバッグや小物、造花のフラワーアレンジメントなどを製作し、インターネットやフリーマーケットで販売している。開所から1年、利用者は42人にまで増加。へりを寄贈してくれる地元の畳店、製品展示の場を設けてくれたゆめが丘駅など、協力者の存在も活動を支える大きな力だ。目標とする「地域に根差した事業所」にも少しずつ近づいている。
○…「学生時代はやんちゃ坊主だった。そんな自分がまさか」。16年前に難治性のうつ病を発症し、不眠・不調が3年以上続いた。思い当たる節はなかった。悩まされたのは症状だけではない。身近な人からの理解が得られない辛さもあった。自身が当事者となって芽生えたのは「精神疾患のことを知ってほしい」という思い。精神保健福祉について独学で学び始め、通信制高校と夜間大学を卒業し、啓発活動に取り組んできた。「実体験したから分かる。ゆっくりでいいから、次のステップに進んでもらえたら」と穏やかに笑う。
○…点字や伝統工芸の魅力発信も兼ね、不要になった点字図書を使った封筒や福島の「赤べこ」の張り子作りも開始。これからの課題は製品の販路開拓だ。一方で、新たなプロジェクトの準備も進んでいる。家庭の事情などにより自立が必要となった、15〜20歳の子どもの援助を行う入居施設を事業所の隣に開設予定だ。「再開発が進むゆめが丘の地と一緒に成長していきたい」。また新たな一歩を地元とともに踏み出す。
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