各地の愛好家からなる「石田三成会」の会長を務める 竹内 伸治さん 和泉中央南在住 84歳
すべての人が吉となれ
○…戦国武将「石田三成」の思想や生き方に惚れ込み、自ら声をかけ、愛好家が集う会を立ち上げ17年。三成が生まれた滋賀県の石田町や関ヶ原などに毎年集まる各地の同志とともに史跡を巡り、法要や催しにも参加する。何よりも楽しいのは、考察や評価を思う存分語り合えること。解釈の違いもあるが集まるのは、ファンという言葉では表現し足りない熱い思いの人ばかり。「話が合うから気分がいい」と幸せそうな笑みを浮かべる。
○…夢中になったのは、定年を迎えてから。元々「徳川嫌いの秀吉びいき」。資料や書籍を読み漁るうちに、三成が行ってきた弱者救済のための配慮などの政治方針に共鳴した。「その思想は課題の多い現代社会を良くするための方法として通じるものがある」と語る。関ヶ原の古戦場跡をはじめ、ゆかりの地を訪れては持ち前のコミュニケーション能力で交流の輪を拡大。1999年に会を設立した。会員は全国に散らばっているため、会えるのは年に数回。少ない分、会った時の楽しみが大きくなる。
○…大河ドラマに歴史小説の映画化と、メディアでは三成の登場が続くが、熱心に見る方ではないという。「自分の中でイメージができているからか、見ても違うなと思っちゃってね。自分で脚本を作りたいくらい」。三成は中井貴一か加藤剛、秀吉は緒形拳、家康は西田敏行――と俳優の名前が次々と挙がる。頭の中ではすでに自分好みのドラマが完成しているようだ。
○…合唱サークル「いずみうたう会」の代表にマンションの自治会長、防災拠点の副委員長を務めるなど、地域活動も盛ん。自治会の方針は「会費徴収なし、当番制役員なし、回覧板なし」と決めている。「会費の使い道が不透明とか、当番で無理に役員をやるとか嫌でしょう」。思い描くのは三成の「大一大万大吉」の旗印。すべての人が吉となる良い社会づくりを、自分の周りでも実践している。
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