保育士不足や1人あたりの負担増が全国的に課題となっている中、泉区では独自に、保育の仕事に興味を持っている人を対象とした「保育士等就労支援講座」を2010年から実施している。地元保育所の見学や園長らと直接話す場を設けるなどし、地元で働くことに目を向けてもらう狙いがある。
少子化が進む中でも、女性の就労や介護等、生活様式の変化により保育利用の需要が横浜市全体で増加。これを受け、市では新たな保育所の開設を進めており、区内でも昨年4月立場駅周辺に2カ所が開設され、今年4月には中田駅周辺に1カ所開設される予定となっている。
一方で、課題となっているのが、保育士の負担増加だ。泉区内では現在、28カ所の認可保育所で600人以上が働いている。国が定める基準は満たしているが、朝から夕方、月曜日から土曜日までと保育時間が幅広くなっていることで、保育士の負担が増大していると感じている保育所も多い。区こども家庭支援課によるとこうした状況は市内に限らず、近隣の市や東京都等も同様で、近年は限られた保育士の争奪戦のようになっているのが現状という。
各保育所も人材確保に努めてきたが、園長らによる区保育園長会と区役所が協力し、7年前に始めたのがこの保育士等就労支援講座だ。市でも同様の講座は実施しているが、泉区では地元で働くことにも焦点を当て、単なる説明会ではなく保育所を見学し、園長らと働き方等について直接話す場を設けている。同時に区内での求人情報や体験実習が可能な保育所の紹介等も行ってきた。
この講座は、保育士の資格を持っているが働いていない「潜在保育士」や、資格を持っていないが保育の仕事に興味がある人を対象に開催されている。同課担当者は「潜在保育士はまだまだ多く、経験者は即戦力になる。資格がない場合でも『保育補助』として働くことができる」と話す。
保育補助とは、その名の通り正規の保育士の業務を補助するのが主な役割で、無資格でも実務経験を重ねることができる。人員確保に悩む保育所からは保育補助の力も強く求められており、区内ではおよそ70人が活躍している。フルタイム勤務だけでなく、人手が必要な朝の数時間のみ働くといった場合もあり、働く中で正規の保育士を目指し、資格を取得する人もいるという。
資格取得に関しては国家試験のほかに、「地域限定保育士」の資格を取るという選択肢もある。これは就労地域を神奈川県のみに限定した保育士の資格で、取得の3年後には全国で保育士として働くことができるようになるという。
講座には、初年度から2月6日に開催された今年度までで76人が参加。昨年度は14人中、区が把握している限りでも2人が実際に保育士・保育補助として就労するなど、講座が実際に区内での人材確保に結び付いた事例もある。区担当者は「講座がきっかけとなり、保育士の不足や負担の解消、地元での就労につながれば」と話す。
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