横浜市はこのほど、記憶力や判断力の低下などを理由に運転免許を失った高齢者をサポートしようと、免許更新時などで認知症のおそれがあると判定された人のうち、相談支援を希望する人の情報提供を受ける協定を県警と結んだ。
横浜市は市内の認知症の人数14万人(2015年)と推計。超高齢社会の中、今後も増加が見込まれ、進行予防や症状の緩和には早期発見と早期対応に向けた取り組みが課題となっていた。一方、県警も対象者の免許自主返納により事故の未然防止につなげたい考え。
今回の協定は、県警が運転免許の更新時などに行う認知機能検査で「認知症のおそれがある」(第1分類)と判定され、免許の申請取消や行政処分で免許を失った人のうち、相談支援を希望する人の情報を横浜市へ提供する内容。県内初の取り組みで、6月1日から始まっている。
市が県警から受けとった対象者の情報は、居住区の高齢・障害支援課へと送られる。担当課は電話連絡や訪問などによって状態を把握。地域の身近な窓口として保健や福祉に関する支援を行う「地域包括支援センター」の専門職らと連携しサポートにあたる流れ。
市では大きく分けて生活基盤や暮らし方の変化に関する心配事や医療・受診先のアドバイスといった相談内容を想定しているという。
同様の施策を先行導入している滋賀県では「認知症のおそれがある」と判定された人のうち、3割程度が相談支援を希望したといい市は初年度に80人程度の相談希望者があると想定している。
増え続ける運転卒業者
昨年3月に改正道交法が施行。臨時認知機能検査の新設など高齢者の運転対策が強化された。近年、交通事故全体における75歳以上の高齢ドライバーの割合が増えている。こうした中、運転免許を自主返納する人の数も増加傾向だという。
県警によると、県内で16年に2万6797人(うち75歳以上1万85人)だった自主返納者は17年に3万2347人(同1万6149人)となり、今後も増える見通し。市は「運転免許を失った人は暮らし方も変わる。地域でサポートする体制づくりを進めたい」と話した。
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