横浜市は7月20日、2020年度の一般会計決算(速報値)を発表した。市税収入は19年度と比べて0・3%減の8439億円で15年度以来5年ぶりの減収となった。個人市民税は増加したものの、法人市民税が落ち込んだ。新型コロナウイルスの影響が少ない19年度の所得や企業収益を反映するもので、21年度は深刻な落ち込みが見込まれている。
一般会計の歳入決算額は2兆3570億5700万円、歳出決算額は2兆3411億2700万円でどちらも過去最高。実質収支は53億8900万円だった。歳出は新型コロナウイルス対策の給付金や中小企業支援などの影響で増大した。
歳入をみると、個人市民税は19年度比で42億円増の4136億円で過去最高を記録。市財政局によると、人口増に加え、働き手の増加によって給与所得納税者が19年度比で約2万5千人増加したほか、1人あたりの給与所得が約1万3000円増の約537万円になったという。
固定資産税と都市計画税も新築・増築の増加により合わせて約42億円の増収になった。
一方、法人市民税は19年度と比べて104億円減の483億円。企業の収益が落ち込んだほか、消費増税に合わせた税制改正の影響が大きく、新型コロナウイルスの影響は限定的だったと見られる。
市債の発行額は19年度比で178億円減の1521億円。借入金残高は105億円減の3兆1543億円となった。
今後の落ち込み懸念
市が今年2月に発表した21年度の市税見込みでは個人市民税を約3883億円と試算。20年度決算額と比べて253億円の減収となる。法人市民税はさらに深刻で154億円減の329億円と見込んでいる。
自治体の財政に詳しい浜銀総合研究所の調査部主任研究員、遠藤裕基さんは「コロナの影響が出るのは21年度以降で非常に心配になる。人口動態から見ても20年度がピークとなり、税収はこれから厳しい状況になる。20年度の数字をみて安心してはいけない。今後は歳出の圧縮や法人市民税を増やす施策が必要となる」と指摘している。
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