「風や雪に耐えて形を変えながら伸びていく大樹の姿は、まさに人生そのもの」と語るのは白百合在住の画家、森脇ヒデさん(88)。20年に渡り、巨大な樹木の根をモチーフにした作品を描き続けている。
タイトルの「梼(とう)」は「大木の切株」という意味などを持つといい、自身が求める永遠のテーマでもある。日本全国を回って集めた巨木のスケッチをもとに、これまで70作品以上を生み出した。力強く伸びる根や、切り株の根元から生える若芽から生と死の共生を見出し、人間や社会を描き出しているという。「コロナによって生活は一変しましたが、樹形のように変化の機会と捉えたい」。そんな想いで描き上げた今年の「梼」。暗闇のなかに差し込まれた鮮やかな色には、明るい未来を祈る希望の意味が込められている。
絵はエネルギー
学生時代に始めた絵画。長年、児童福祉に携わり、退職後65歳から本格的に画家としての人生をスタートさせた。数々の美術会員として年間を通して様々な展示に出展。2018年までは泉区美術会の会長を5年間務め、現在も相談役として会を支えている。
コロナ禍は生活を変えたが、自身の生き方を見直すきっかけにもなったという森脇さん。「絵仕事」に集中して打ち込める時間も増え、息子や孫、姪たちと協力しながらステイホームやソーシャルディスタンスを呼びかけるポスターも作成した。「絵を描くことは自分にとって一番のエネルギー補給。そして、いつでも自分らしくいられる理由でもあります」と微笑んだ。
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