地元商店会に
戸塚駅西口に商業施設や区役所が整備され約10年。一昨年、107年の歴史に幕を下ろした井野写真館は、駅周辺の移り変わりを記録し続けてきた。その写真の中から今月、再開発中の様子を撮影したデータをトツカーナモール商店会に託した。元店主の井野慎司さん(73)にその思い、店やかつての商店街の話を聞いた。
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井野写真館は、慎司さんの曾祖父にあたる井野鑊雄(かくお)さんが大正3年、鎌倉郡戸塚町吉田(現在のトツカーナ付近)に創業。当時戸塚に一軒しかなかった写真館として、戸塚小学校や町の人々の記録を撮り続けてきた。
昭和55年に新築した店舗は、レンガ調のモダンな造りで、アマチュア画家に戸塚の街の風景として描かれたことも。デジタルカメラの普及前で多くの顧客で賑わったという。「成人式の日は1日250組くらい撮影した」と慎司さんは当時を懐かしむ。
8年間の風景
西口の再開発エリアの解体工事が始まった2007年の前年から、店長を務めていた弟の辰也さん(71)は、「生まれ育った街の変遷を残したい」と、区総合庁舎ができる13年まで、その様子を撮影してきた。
店舗は10年から戸塚パルソの一角で営業を続けたが、21年に兄弟の高齢などを理由に閉店した。慎司さんが事務所を畳むため整理をしている中、弟が保存していた写真データは、再開発の様子や商店街で働く人たちを克明に記していた。
「何かの役に立てば」と考えて今月、かつての仲間であるトツカーナモール商店会の縄正人会長に預けた。慎司さんは「再開発に向け勉強会を開いたこともあり、みんな商店街が好きだった。懐かしんでもらえたら」と話す。
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