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「民間救急」という選択肢(下) 曖昧さが招く混乱

社会

公開:2015年8月20日

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酸素ボンベを備える車両
酸素ボンベを備える車両

 全国の患者等搬送事業(民間救急)に関わる業者からなる(一社)全民救患者搬送協会。現在23社が加盟、連携しているが、(株)神奈川民間救急サービス(神奈川区)もその1社だ。同社では月に50件ほどの利用があり、主な用途は通院や転院。星崎清美代表取締役は「寝たきりは病気ではないので、長くても3カ月以上同じ病院に居させてもらうことはできない」と転院の生じる背景を説明する。

 また時には、長距離の搬送の依頼も。ある利用者は、気圧の影響から飛行機に乗れず、新幹線もストレッチャーのままでは乗車できないため断念せざるを得なかったが、「最期に地元に帰りたい」との思いで、北海道までの搬送を依頼したという。結果的に、目的地を前に命は尽きてしまったが、「津軽海峡まで戻れただけでもよかった」と感謝の言葉を遺したという。

 市消防局の認定を受けている同社は、SARSなどの感染症患者の搬送委託も行政から請け負っているという。これらの患者を搬送した救急車は、消毒のために24時間は使用できなくなり、星崎さんは「公的な救急車が対応すれば、他の事態に出動できなくなってしまう。でも、誰かが動かなければならない」と語る。

 民間救急を巡る状況について星崎さんは、「ニーズに伴い、業者はここ数年で急増したが、そのスピードに法律などの整備は間に合っていない」と指摘。特に問題視するのは、「患者等搬送事業」の定義の広さだ。

 車両に看護師を同乗させることや、医療用酸素を備えることは法律上の要件ではない。それゆえ業者の搬送体制にはバラつきがあり、過去には、寝たきり患者の所へ1人しかスタッフが向かわず、その場になって「対応できない」と搬送を断ったケースもあったという。

 利用者の観点からは、サポートは様々なニーズに応じて、過不足のないものが望ましい。混乱を招かぬよう、事業の分類が必要だと指摘する声もある。

(了)

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