犬・猫IDチップ 普及率の低迷続く 助成申込みも定数割れ
犬猫の身元証明(ID)となるマイクロチップの普及に向け、横浜市では装着費用の一部を助成するための受付けを今年度も6月から開始した。法改正による装着義務化が検討されている一方で、市内では申し込みが定数に満たない状態が続いている。災害対策や迷子防止、飼い主の意識向上などが期待されており、認知度アップが急務だ。
マイクロチップは直径2㎜、長さ12㎜程度の円筒形で、首の後ろの皮の下に注射器を使って埋め込む。チップには15桁の数字が記録されており、リーダーで読み込むと登録データにより身元が証明される仕組み。迷子防止などのほか、ペットの遺棄防止など飼い主のモラル向上も期待される。
装着は事業に参加する動物病院で申込み、費用は平均5000円程度。そのうち市と横浜市獣医師会(井上亮一会長)が2000円を助成する。助成は今年で5年目になるが、申し込み上限1000匹に対し、初年度から757、673、756、806匹と定数割れの状態が続いている状態だ(11年度は上限750匹)。
認知度向上が課題
市に登録されている犬は18万2927匹(6月24日時点)で増加傾向にある。井上会長は「市内の普及率は多く見積もっても約1〜2%。マイクロチップが知られていないことが一番の原因」といい、今後も啓発活動を続けていく方針だ。
動物愛護法改正に携わる全国ペット協会の太田勝典会長によると、今年9月を見込む法改正では「5年後に装着義務化を目指す」という内容が盛り込まれる見通しだという。「大手ペットショップではあらかじめ装着しているところもある。東日本大震災の事例を見ても個体識別は必要」と話す。
殺処分減少に有効
昨年度、市動物愛護センター=神奈川区=で保護された犬は406匹、猫は1541匹。傷病や遺棄、野良猫などにより保護されたケースもあるが、迷子を理由に保護された犬猫も少なくない。同センターでは引き取り手が見つからない犬猫を保護期間を決めて殺処分することはしないが、体調面から判断し安楽死をさせる。昨年度は犬61匹、猫527匹が死に至った。同センターは「安楽死を減らす点でもチップの装着は有効。飼い主の意識向上にもつながれば」と話している。
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