壊れたおもちゃを修理する「おもちゃドクター」の出番が近年、減りつつあるという。保土ケ谷区の地域作業所に「おもちゃ病院」を開設し、ボランティアとしておもちゃに治療を施している秋元康邦さん(76)によると、10年前に比べると「患者数」は10分の1。「壊れたら買い替える『使い捨ての時代』なのかもしれないが、できるだけ治して長く使ってもらいたいですね」と話す。
電気メーカーでモーターの性能試験を担当した後、27歳で教員となり、中学校の技術科教員を務めた秋元さんは定年後、保土ケ谷区役所そばにある地域作業所でボランティアとして「おもちゃ病院」を開設した。
当初は壊れたおもちゃを手にした親子が「治療待ち」の列を成し、市外からの「来院者もいた」というが、状況は一変。年々、修理を依頼する「患者数」は減り続け現在は10年前の10分の1になった。
完治率は8割
持ち込まれるおもちゃも時代とともに変化した。かつてはゼンマイ仕掛けの物などが多かったが、ここ数年は電池式の物が主流となり、センサーやICチップを使った複雑な構造のおもちゃが増加。時には足りない部品を自ら作り治療を施し、8割近い完治率を誇る。 修理は基本的に無料だが、ICチップ本体が故障している場合などは、メーカーから部品を取り寄せて修理する必要があり、実費負担が必要となる。
使い捨て時代危惧
秋元さんによると近年は製造物責任法に基づきメーカーは一般消費者に部品だけを販売することが難しくなっており、おもちゃが故障した場合、本体を製造元に送る必要があるという。
この手間や送料、修理費がもともとの本体価格の半額ほどかかるといった費用負担の問題、さらには使い捨てを前提とした玩具を製造・販売するメーカーの姿勢にも「壊れたものを直して使う」という考え方にブレーキをかけていると、秋元さんは考えている。
3人の子どもを育てる過程でおもちゃを修理しながら使ってきた自身の経験も踏まえ、「壊れたらおしまいではなく、相談してほしい。ひどい損傷でなければだいたい治せます」と話す。また「子どもたちがおもちゃに飽きたり、古くなったら他人に譲ったり、フリーマーケットに出品するなどしてもよいのでは」とリユースを呼びかけている。
修理の依頼などに関する問合せは地域作業所はなかご【電話】045・333・0029へ。
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