相模原協同病院の看護師で、第54回神奈川県看護賞を受賞した 大塚 孝子さん 中央区南橋本在住 58歳
「人として」やさしくしたい
○…相模原協同病院に長きにわたり勤務し、地域に寄り添ってきた。緩和ケア病棟やNICU(新生児集中治療室)など新棟開設・再開時には、「立ち上げ師長」と異名がつくほどしばしば師長の立場で携わり、現在は看護部長として480人の大部署を牽引。かたや市病院協会では看護部長会副会長の顔も持つ。「功績なんてない」と控えめだが、その足跡を道しるべとする後進は多いはずだ。
○…紅花の産地で知られる山形県白鷹町の出身。高校生の頃に漫画の影響で、リハビリに励む人を支える理学・作業療法士に憧れた。しかし志望校への進学は叶わず、同院で師長をしていた同郷の先輩に勧められ都立松沢看護専門学校へ。そこで学ぶうちに、心に抱いていた「人の役に立ちたい」という思いがしだいに膨らみ、看護の道を進むことを心に決めた。
○…がんを患う若い男性。有名チェーン店のコーヒーが好きだという。「この患者さんを喜ばせたい」。職員一同、退勤後に男性を連れてその店へ行き、ひと時を過ごした。その時の患者の嬉々とした姿と、仲間たちの前向きな看護は今も忘れない。「看護師である前に一人の人間としてやさしくできる、『この人と関われて良かった』と感じることができる。そんな看護師でありたいし、そうなってもらいたい」。「人として」人にやさしくできているか―。自分にも仲間にも絶えず問いかける。
○…看護師不足は業界全体の課題。人材確保と育成、定着に全国を奔走する。勤続37年。愛する長男長女もこの病院で出産した。同院とともに歩んだ看護人生、その集大成として待ち構えているのは、2020年冬に見すえる新病院のオープンだ。「一大イベントを成功させ、有終の美を飾りたい」。きっと、そこにはやさしさが溢れている。