相模原北防犯協会の副会長を務め、2021年秋の褒章(藍綬)を受章した 酒井 哲夫さん 相原在住 74歳
「何もない見回り」が一番
○…「何か大きな事を成し遂げたというより、淡々と積み重ねてきた30年間が評価されたのでは」と受章を振り返る。「誘われるがまま」1991年に相模原北防犯協会に入会。夕飯後にパトロールのため同志と集まるが、見回りに熱が入り帰宅まで2時間以上かかる日もあった。その他、橋本七夕まつりや相原地区ふるさとまつりでの啓発活動など、地域から「犯罪」の2文字がなくなるよう、粒粒辛苦を重ねてきた。
○…子どもが生まれたのを機に相模原に越してきた。大工の仕事をしながら自治会の防犯部長などを務めるうちに、警察の外郭団体である防犯協会から声がかかった。「正義感はもともとある方。引き受けることが地域貢献につながるなら」と快諾。パトロール中に偶然変質者に出会い、急いで警察に通報したこともあった。「何もない見回り、が一番いい。その積み重ねで地域の安全がある」と目を細める。
○…長年夜間に家を空ける生活に、妻は「本当にやりたい放題。でも、それが幸せなのね」と理解を示し寄り添ってきた。当時小さかった2人の子どもも「慣れっこ」だ。今も暮らす一軒家は、自身が2年かけて作った大切な居場所。「妻がいてくれたから、自分は活動を続けてこられた」。そう常に感謝の気持ちを忘れない。
○…還暦を迎えてから、腰のリハビリで通ったのが「富士山」だった。当時、雨などでできてしまった陥没穴が展望台の駐車場に散見。見過ごすことができず、地域住民と協力して修繕作業を行った。「富士山への恩返しも兼ねてね。今でも台風の後は見に行っちゃう。足を取られて転ぶ人がいないか心配だから」。奉仕の精神は、今なお大きな原動力になっている。