津久井やまゆり園、藤野薫風などを訪れ音楽療法士として交流する 小林 朱見さん 清川村在住 60歳
音楽を通じ心の交流を
○…音楽を駆使し、身体的及び心理的機能の維持向上を図る心理療法。「みゅうじっくぼうる」と名付けたこの音楽療法を伝えるため、週2回程度、緑区内の障害者施設を訪れ交流を続ける。現在、区内で訪問するのは「藤野薫風」と、津久井やまゆり園の関連施設である日中活動支援施設「ファンファン」「そよかぜ」、障害児放課後デイサービス「みらい」。10人から20人を対象に、楽器演奏、歌、ダンスなどを約1時間行う。「音楽は、言葉がなくても心と心のやりとりに優れたツール。毎回彼らの素直な心に感じるものがある」と話す。
○…大学卒業後、障害者を中心とした福祉関連の仕事に携わり、40歳を過ぎて「音楽療法士」という職業を知った。その資格を取ったのは2006年。以来、障害者施設を中心に訪れ、交流を続ける日々を送る。「演奏する選曲には特に気をつかっている。彼らが前向きになれるよう、一緒に楽しんでいきたい」と強い思いを語る。
○…学生時代はバンド活動に熱中。今では、仕事で知り合った仲間と「ザ支援ズ」というバンドを組み、地元での定期コンサートのほか、相模湖や串川などでのイベントにも障害者と一緒に出演する。「津久井は縁の深い地域なので、近いうちに大きなコンサートができると嬉しいですね」
○…悲惨な事件が起きた日の前日も、やまゆり園を訪問していた。「信じられなかった」と振り返るが、事件のあった1カ月後には、「職員や利用者を勇気づけたかった」とコンサートを実施した。「2021年にやまゆり園の建て替えが完了するまでは、この仕事を辞められない」と交流活動に没頭する日々。「彼らとまた一緒に音楽をすると、刺激を受け、さらに続けたくなるのでしょうけど」と微笑んだ。