29日から行われる「和田自治会 鯉のぼり谷渡し」の実行委員会会長を務める 小池 芳実さん 佐野川在住 72歳
泳ぐ姿に「鯉」焦がれ
○…佐野川地区の澤井川の上空に約200匹の鯉のぼりが泳ぐ「和田自治会 鯉のぼり谷渡し」。4年前、主催団体の高齢化によりその意思を引き継ぐ形で実行委員会を立ち上げた。村おこしを目的に、約40年途切れることなく続いてきたが、昨年は新型コロナの影響で中止に。再開を心待ちにしていた。
○…佐野川生まれの佐野川育ち。同郷の妻と、昨年から大学進学のため関東に出てきた孫と3人で暮らしている。元々の性格は「引っ込み思案」。しかし、30歳過ぎで市の青少年指導委員に任命され、人柄が変わった。地域活動の一環で登った陣馬山の頂上で、千人近くいる子どもや保護者の前でゲーム大会をしろという命が下った。突然のことながらやり切ったものの、「緊張が後から来て、下山後すぐ寝込んだ」と苦笑する。
○…年を重ね、人柄は次第に「おもてなし精神」溢れる性格に。藤野観光協会主催の「藤野里山体験ツアー」の受け入れ家庭として、都心などから来た家族を精一杯もてなす。自宅そばの澤井川に招き、釣りや川遊び、割った竹の中で作る炊き込みご飯「かぐや姫ごはん」の調理体験などをレクチャー。3年前の夏には、訪日したカナダ代表のボートチーム選手団に「日本文化を感じてほしい」と河原で流しそうめんをふるまった。
○…「谷渡し」が始まった頃は、30代でまだまだ下っ端だった。初回は手元に何もなかったので、「訳もわからず近隣を訪ね、『鯉のぼりを貸してほしい』と説得して回ったのが懐かしい」と目を細める。あれから約40年、今は実行委員会の会長として、掲出の実務や寄付の呼びかけに奔走する。昨年は見られなかった鯉の泳ぐ姿。今年こそは元気な姿を見せたいと熱が入る。