7月20日に出版された絵本『やとのいえ』の監修を務めた 仙仁 径(せんに けい)さん 市内在勤 44歳
人生を豊かにする知識を
○…(公財)多摩市文化振興財団で学芸員を務め、絵本『やとのいえ』で自身初となる本の監修を担当した。これまで培ってきた知識が活かせると思い、出版社からの依頼を快諾。多摩の自然や民俗などのアドバイスを行った。「後々まで形に残るもの。責任感を感じる反面嬉しかったですね」と柔和な顔で語る。
○…専門は植物学。幼い頃、昆虫観察が好きで昆虫が食べる植物にも自然と詳しくなった。高校生の時にビオトープ(生物の生息空間)に興味を持ち、東農大に入学。植物学の研究室に入ると、色や形の多様性の魅せられ研究に明け暮れた。都立大の大学院では植物分類学を研究。「高山植物を調べると何万年と歩んできた経緯がわかる。ロマンを感じるんですよね」と無邪気に笑う。
○…2006年に同財団の植物観察会の担当者が不在になったことから声が掛かり入職。観察会や植物講座を担当し、展示の企画や市内の小学校などでも環境をテーマにした授業を行う。職場には歴史や民俗の学芸員もいて常に刺激をもらいながら仕事をしている。市民とのふれあいも多く、時には叱られながら、日々学ばせてもらっているという。「専門性を活かしながら、多くの人と関わり仕事ができる。感謝の言葉を直接いただくこともあって、やりがいを感じています」と充実感をにじませる。
○…多摩は開発によってつくられた街。開発前にあったはずの植物がまだ残っているのを発見することもあり、今後本格的な調査を検討している。そうした植物がある場所をサテライトの博物館として紹介していくことも企画中だ。「知識を得ることは人生が豊かになること。1人でも多くそう感じてもらえるようなものを提供していきたい」と笑顔で語った。
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