開設1周年を迎えた日本山岳会東京多摩支部の「多摩サロン」を主宰する 神崎 忠男さん 連光寺在住 75歳
不屈の登山家「恩返しを」
○…全国で約5千人が所属する日本山岳会。2010年に東京多摩支部を開設、立ち上げに尽力した。昨年4月から月に2回、関戸公民館で支部の親睦と情報交換を兼ねた「多摩サロン」を主宰する。15日には1周年を迎えたサロンで、山岳会の歩みや登山の歴史について講演を行った。「技術とまではいかなくても、登山について学習、情報交換できる場になっていけば」と今後に意欲をみせる。
○…登山を始めたのは、高校の時。父親に「山に行って体を鍛えろ」と言われたのがきっかけだった。「当時は苦しさだけで山の良さなんか二の次。やらなければという義務感だけだった」と語る。大学で山岳部に入り、山登りに明け暮れた。卒業後、仕事に専念しようと思っていた矢先、大学の先輩たちがグリーンランド遠征に行くも失敗。それを聞いて「俺がやらなきゃ」と挑戦。それから国内外の山への挑戦が始まった。
○…1970年に日本登山界として初のエベレスト登頂を目指す隊に参加。そこで頂を踏んだ植村直己さんを最後までサポートした。「エベレストには過去4回挑戦したけど、一回も頂上に行っていない。だから『悲劇の登山家』と自分で言っています」と苦笑い。2回目のエベレスト挑戦の際に中腹で心筋梗塞を患うも、山への思いは尽きず、以降も数々の山に登り続けた。なぜ山に登るのかと問うと「”山があるから”という有名な言葉があるが、言葉で表現できない。答えることが出来ないから登り続けているのかな」と登山の魅力を笑顔で語る。
○…これまでに日本山岳会、日本山岳協会の会長などを務め、昨年アジア山岳連盟から功労者賞が贈られた。現在は、東京五輪で追加種目となったスポーツクライミングの多摩地区誘致に動く。「これまで世話になった山に少しでも恩返しできるように、環境づくりに努めていきたいですね」。日に焼けた笑顔で、今後も団体の発展に尽力する。
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