市内には地域のために活動する数多くの団体が存在する。そんな「縁の下の力持ち」HEROたちを紹介するコーナー。今回は五輪事前合宿招致で盛り上がる、ラグビーのスクールを取材した。
水曜日の夕方、厚木小学校の体育館。楕円形のボールを境に、下は小学2年生、上は中学2年生の12人が向かい合う。真ん中のひとりが、手にしたボールをチョコンと足に当て、走り出す。ミニゲームが始まった。数十秒のボール争奪戦が何度も続く。「パスしろ」「こっちに回れ」。声の主は指導者ではなく、プレーする子どもたち。それを保護者と談笑しながら眺めているのが、小畑江至さん。この教室「アールラボ スポーツアカデミー」の代表理事だ。
元高校教師の小畑代表は、国内では少ないプロコーチとして栗田工業をはじめとする実業団や大学生を指導してきた経歴の持ち主。現在は市内でパーソナルトレーニングスタジオを経営するとともに、湘南ベルマーレの7人制ラグビーチーム「Bell7」のGMを務める。東京五輪でニュージーランド女子チームの事前合宿誘致をめざす厚木市にも協力し、交流の深い同国ラグビー関係者とのパイプ役となっている。
NPO法人としてアカデミーがスタートしたのは2010年。もともと市内で活動していた「厚木ラグビースクール」のエリートプログラムとして、更なる上達をめざす子どもたちを対象に始まった。現在は元社会人選手や大学の指導者がコーチとして参画する。
1時半の練習で当初から変わらず続けているのが、ラスト30分のミニゲーム。自らは口を出さず、子どもたちの自主性を育む。30分の中で目に見えて子どもたちが成長していく姿は、感動すら覚える。もちろん、練習時間の前半は基礎部分をしっかり教え、練習の中で出来た点や課題はノートを使ってしっかり伝える。
男女ともに年代別の県選抜チームに選ばれる受講者も多く、卒業生では「花園」に出場した子もいる。
試験期間前で中学3年生がいなかったこの日、低学年の子どもにも的確な指示を飛ばしていたのが中学2年生の後藤啓太君。兄とともに、小学4年生から参加している。「練習に対する取り組み方や、準備の仕方への意識が身についた」と後藤君。上級生が不在だったこの日は積極的にリーダーシップを取り、周りを見ながら低学年の子どもたちを引っ張った。プロ選手になるのが夢で、この夏にはニュージーランドへの短期留学を予定している。
一方通行の絶対的な指導とは違う「気づき」を培うラボ(研究室)。厚木を、日本を背負うラガーマンが生まれる日も近い。
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