▽厚木市林の田んぼの中に突如現れる牧場『牧歌』。広さ約30アールほどの敷地内に牛3頭、羊5頭と友人に委託されたヤギ4頭を飼育。経営しているのは、河内賢一さん(45)だ。「子どもの頃から牛乳が大好きで、自分で牛乳を搾って飲みたい」と思い、帯広畜産大学に進学。卒業後1年を北海道で過ごした後、故郷の厚木に戻り、自分ひとりで家畜の世話から加工までを手掛ける「小規模酪農」をめざし、奔走。自宅の一部を乳製品の加工場に改装し、2009年に牧場も完成した。新規就農者としては市内の牧場として牛乳のほか、それを加工しヨーグルト、チーズの生産・販売も始めた。
▽今年2月には、生産するチーズが、『第5回関東ナチュラルチーズコンテスト』(一社・中央酪農会議主催、同コンテスト実行委員会共催)で、最高賞となる関東チーズ大賞を受賞した。河内さんは「一般の人が食べて評価するコンテストなので、この賞は本当にうれしい」と話す。「自分が食べたくて作っているので、熟成の旨味を生かしてくせがない誰もが好きな味になっていると思いますよ」と自己評価する。
▽ジャージー牛の乳は脂肪分が多くてコクがあるという。牛乳とヨーグルトは、JAあつぎファーマーズマーケット「夢未市」に出荷、チーズは自宅の販売店「BOCCA」で予約販売するが、「小規模で手間をかけて生産するため値段は決して安くない」(河内さん)という。「趣味の延長」で始めたというが、「お金がかかりすぎる」と経営的、労力的にも厳しさが増す。現在は「この夏の暑さで牛たちも疲れ気味だから」と牛乳とヨーグルトは生産を休止(来年1月頃から再販予定)し熟成中のチーズのみ販売している(カット売り)。
▽経営維持のために週1日の酪農ヘルパーに加え、週3日のサラリーマン生活も始めた。「経営としては成功しているとはいえない。賞をとっても大儲けすることはない」。それでも「自分で牛乳を作ることが夢だった。これからの人にも夢を持ってもらいたい。だから自分は敢えて誰でも出来るやり方でやっていきたいと思う」と力強い。今は人手が行き届かず荒れている牧場を整備し、子どもたちが喜んでくれるようなイベントの開催も画策する。「こだわり、夢は譲らない」
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