でこぼこ道の子育て記 11.義父、長男それぞれの「不安」一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛
―現在の連載は10年ほど前、子どもたちがまだ小さい頃、介護をしていたときの経験を書いたものです―
若年性アルツハイマーと診断された義父と同居するため、引っ越してきた私たち。落ち着く暇もなく、家の建て替えのため、借家に移る準備もしなければなりませんでした。私たちが来たことで義父はいくらか安心した様子ではありましたが、鬱状態になってしまうこともしばしば。一緒に荷物の整理をしようと声をかけても、少し動いては横になり、また少しやっては横になり…の繰り返し。しかし、家を空けなければいけない期日が迫っていましたので、のんびりなんてしていられず、結局は私が一人黙々と進めことに…。
この時期、何よりも辛かったのは長男のこと。毎日のように遊んでいたお友達と離れてしまい、新しい幼稚園に通うことになった長男は、不安定になり毎朝のように冷蔵庫やテーブルにしがみつき「行きたくない!」と大泣き。それを引きはがして幼稚園に連れていく毎日は、本当に「しんどかった」。この状態で無理やり連れて行かなければならないの?という母としての葛藤と、一方で引っ越しの準備が思うように進まない焦りとで、私自身も泣きそうになりながら、それでもあれこれ考えている時間もなく体を動かし毎日が過ぎていきました。
こうして慌ただしく始まった同居生活。子どもと義父、双方のことも気遣いながら、とにかく「一人で」やらなければいけない現実に、私は途方に暮れていました。そして、この先の介護生活の中で、その大変さを更に実感することになるのです。 -次回に続く
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