でこぼこ道の子育て記 14.「病気だから」割り切る気持ち一般社団法人sukasuka-ippo代表理事 五本木愛
―現在の連載は10年ほど前、子どもたちがまだ小さい頃、介護をしていたときの経験を書いたものです―
介護と子育てとの両立で慌ただしい日々の中、義父の病気の意識も薄れ始めてきた頃のこと。私にとって、節目となる出来事がありました。
当時4歳の長男と3歳の長女が週末、久しぶりに私の実家へ泊まりに行く事になり、両親、子どもたち共にそれはそれは楽しみにしていました。その日の晩、夫と私、義父の3人で夕食を取っていると、義父が突然「向こうの家では、ろくなものも食べさせて貰っていないんじゃ?」と言ったのです。私は一瞬、「何を言っているの―?」と耳を疑いました。両親はきっと、孫たちを愛情いっぱいにもてなしてくれているでしょう。それなのに…と、ぶつけたい気持ちをとっさに抑え、笑顔で「きっと、ウチにいるよりよっぽどイイもの食べてるよ」と、嫌みの無いよう伝えましたが、心の中では悔しくて涙が出そうでした。
その場では冷静に答えましたが、夫と二人になり、泣きながら「どうしてあんな言われ方されなきゃならないの?」と訴えました。同居も心配でたまらなかったはずなのに『頑張れ』と送り出してくれた両親を思うと、自分のことを言われるより何倍も辛い。でもそんな私に夫は「親父は病気。何でそんなにムキになるんだよ。病気の人が言ってる事を真に受けても仕方ない」…と。ショックで言葉が出ませんでした。この日を境に、私はいろいろな事に対し「病気なんだから」と割り切るようになりました。自分が傷付かない為に、そうするしかなかったのです。-次回に続く
|
<PR>