国の文化審議会は先月18日、葉山町に残る「旧東伏見宮別邸」=堀内1968=を登録有形文化財に登録するよう、文部科学相に答申した。来春、登録される見通しで、同町内では2010年に登録された日影茶屋本店客室棟と同石蔵に続き3例目となる。
建物は東伏見宮依仁(よりひと)親王(1867-1922)の別邸として1914年に竣工した。現在はスペインのカトリック系団体「イエズス孝女会」が管理。敷地内に幼稚園があるため、イベントがある場合などを除いて原則非公開となっている。
木造2階(一部3階)建ての外観は、真っ白な下見板張りの外壁と15m近い棟高が印象深い。1階に応接室や食堂などがあり、テーブルや椅子など当時の調度品が残る。2階には和室と洋室を備えた和洋折衷の様式でふすまの引き手や釘隠しなどに菊花紋があしらわれる。御用邸竣工前後に建てられた皇族別邸の中では唯一現存し、宮廷洋風建築の様相を今に伝える貴重な建物だ。
長期保存に課題も
「来館者がなくても出来る限り毎日、風を通したり掃除をするんですよ」。建物を案内しながら修道院シスターのヨランダ・ブランドリンさんが説明する。同会では建物を修道院の会合や研修会などに活用。老朽化が進んでいたため、一度は取り壊しも考えたが基礎が丈夫なことが分かり、その後2度の大規模修繕を経て大切に保存してきた。
ただその一方で費用面での困難も多く、長く保存していくための方策が課題となっている。今年に入ってからは地元有志と活用に向けた意見交換を始め、寄付金を募る音楽会や朗読会などを月に1回程度開いてきた。来年以降も形を変えながらイベントを継続していく方針という。同修道院では「地元の方でも建物の歴史を知る人はそれほど多くないはず。今回をきっかけに皆さんと価値を共有して、一緒に活用方法を考えていきたい」としている。
別邸見学と音楽楽しむ
別邸の見学と音楽会や朗読会などのイベントがセットになった「葉山テルトゥーリア」=写真=が12月18日(日)に開かれる。「旧東伏見宮別邸保存のための文化サロンの会」(松尾明美代表)の主催で午後2時から5時。
今年1月から開催してきた企画の最終回。今回は声楽演奏(ソプラノ)を楽しむほか、参加者が1品を持ち寄って軽食を楽しむ交流会もある。参加費は一般2500円、学生1500円。全額建物の修繕や保全に役立てる。別途、建物保全に関する寄付も随時受付けている。
問合せは松尾さん【電話】046・871・8171(ワインショップa day)
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