曽我梅林の梅農家の一部で、梅の品種の一つである「十郎」の枝が枯れる被害が出ている。被害はまだ限定的だが、拡大の恐れもあるため事態は予断を許さぬ状況だ。県農業技術センターでは現在、枝を採取して調査を実施。原因究明に全力をあげているという。
先代から梅農家を営み、下曽我で肥料や農薬の研究をする星野和夫さん(68)は、3年前から枝先の枯れの被害に気づき、和歌山県の梅農家を招き、相談。「灰星(はいほし)病の症状に非常に似ている」と指摘を受けた。灰星病とは、新種のモニリア属菌による病害で、いわゆるカビの一種。花器や枝が菌で侵されると、激しく枝などが枯れる症状を起こすことが特徴だ。
曽我の十郎は現在、原因を調査中のため灰星病とは断定できていない。そのため枝枯れの目立つ農家では農薬を変更するなどの対策をとるというが、現時点では効果が不明なため「やってみないとわからない」と不安をのぞかせる。また下曽我のある農家は「今のところ被害はほとんど出ていないが拡大防止に向けて周知が必要」と話す。星野さんも「寒さ以外で十郎が枯れるのは初めて。早く対策しないと広がる恐れがある」と危機感を寄せる。
現在、南高や白加賀などの他品種には被害はほぼ見られていない。星野さんは今後、県農業技術センターやJAかながわ西湘などと連携して被害の周知活動と調査を進めていくという。JAの担当者は「現時点では枯れた部分を切除し、枝の菌の濃度を下げて畑の外に出すことが最善策。今後も引き続き調べを進めたい」と注意を呼びかけている。
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