生産者と大手スーパーとの直接取引や小売店の減少により、取扱量が減少の一途をたどっている小田原市公設青果地方卸売市場。そんな状況を打開しようと、「小田原いちばやさい」と銘打ち、地場産の農産物をブランド化しようとする取り組みが進められている。
1972年、県内初の公設青果地方卸売場として開設。野菜や果物をあわせ、ピーク時の1989年度には4万8646トンの取扱量を記録した。
しかし、流通経路の多様化などの影響を受けて取扱量は年々減少。99年度に初めて4万トンを割り込むと、2015年度には2万1429トンと最盛期の半分以下にまで落ち込んだ。
こうした状況を危惧し、14年には生産者や買受人による組合などが青果市場活性化検討会を設立。PR戦略として地場産農産物のブランドを確立しようと、取り組みを進めてきた。一昨年には、より一層の浸透を図るためにロゴマークを公募。全国から届いた147作品から選ばれたロゴ=写真上=は昨年、特許庁に商標登録された。
選定基準の決定を受け、11月からロゴのシールが実用化。入荷する農産物を目利きの卸売業者らが厳選した「小田原いちばやさい」は、市内や周辺地域の青果店など約130店舗に並んでいる。
市場管理事務所では、「市内または周辺地域で生産されたもの、生産履歴書があることなど、認定には厳しい基準を設けている」とブランドの価値を説明。「いちばやさいが普及することで青果店の販売量が増え、生産者や卸売業者も潤えば」と期待を込める。
「農家を応援したい」
市内千代にある「スーパーあらや」でも、いちばやさいが店頭に並ぶ。戦後まもない1948年に八百屋として開業、地場産野菜の販売に力を注いできた。同店の小泉利信社長(67)は、「近年は高齢化や後継者不足で、農家は大変な状況」と話し、応援の意味も込めていちばやさいを扱っているという。シールを貼って以来、売上げは伸びているが、「お客さんも舌が肥えている。地場産の安心感もあるだろうけれど、やっぱりおいしいから売れるんだよ」と話した。
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