小田原市消防本部・松田分署の鈴木啓太さん(30)が「第40回消防長会関東支部消防職員意見発表会」で、1都9県の代表の中から最優秀賞に選ばれた。消防職員としての抱負をスピーチし、先見性や発展性、表現力などを審査するもので、鈴木さんは消防職員の外国語教育を提案した。
スピーチの元になっているのは足柄消防の特装隊に所属していた3年前の救助体験。山北の渓流の滝つぼ付近で身動きがとれなくなった外国人の引き上げを担当した。相手はロシア人で「マイネーム・イズ・スズキ」や「レスキュー」の単語も通じない。作業中に相手の予期せぬ動きもあって逆さ吊りに。一呼吸を置いて立て直し救助できたものの、意思疎通の難しさを痛感した。「相手は震えていました。痛みも怖さもあったはず。外国語を覚えるのは大変ですが、積み重ねればもっと心に寄り添った活動ができるのでは」と話す。
もっと聴きやすく
スピーチは5分の制限時間を超えると減点される。鈴木さんは分署内で繰り返し練習し「CPA」といった専門用語も「心肺停止」に置き換え、勢いで語ってしまわないよう随所に「間」を入れた。一呼吸を置いて冷静になったあの日と同じだ。「これまで指導してくれた先輩への感謝をこめ、最高の5分間にします」。鈴木さんは関東代表として、5月24日に名古屋での全国規模の発表会に出る。
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