摩利支天像が小田原城天守閣に戻ってきた。
満開の桜が風に舞い始めた4月9日、蓮上院の濱武快晃住職(76)により「魂入れの儀」が、新しく完成した摩利支天像安置空間で執り行われた。
昨年7月10日の移転法要から9カ月。須弥壇には猪に乗った高さ62cmの像とともに、施主や木材の提供者など関係者名が記された棟札が置かれた。棟札には、施主の加藤憲一市長は直筆で、施工者の芹澤毅棟梁(45)ほか関係者の氏名を、書家の堤千恵子さん(49)が毛筆でしたためた。
読経に先んじて芹澤棟梁は、「これまで隅に置かれていた摩利支天像が改めてきちっとしたところに収まった。多くの人の関わりがあり、その深い意味を感じながら取り組んだ仕事。これからの小田原の発展も、一丸となって進めてほしい」とあいさつ。続いて加藤市長が「単なる化粧直しではなく、小田原を一つにまとめていく再建が出来た。ここが新しい小田原の象徴となるよう願っている」と述べ、読経が始まった。
濱武住職は、印度の文献によると摩利支天像は陽炎であったとされ、それゆえ元禄16(1703)年の大地震で天守閣は焼失したものの、像は残ったというエピソードを披露。列席者は「小田原が摩利支天像の加護を受けてきた」という話に聞き入った。
摩利支天像は5月1日(日)午前9時30分に最初の来訪者を迎えるまで、天守閣最上階で静かに待つ。
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