橘団地一般住宅自治会(土井浩義会長)が、大地震発生時に住宅の通電火災を防ぐ感震ブレーカーの独自設置を自治会員、非会員隔てなく実施している。
感震ブレーカーとは、住宅の電気ブレーカーに取り付けたひも付きの重りが地震の揺れで落ちると、ブレーカーが落ちる防災装置。
この地域は、昭和40年代に造成された住宅地。国府津-松田断層帯から直線距離約2Kmの場所にあり、首都直下型地震も懸念されることから、感震ブレーカーを360世帯分(今後の入居者予備分10個含む)購入した。8月下旬から組長を通じて各戸に配布している。購入費の18万円は、自治会の防災部費や予備費のほか、小田原市に自主防災組織等育成事業費補助金を申請し、工面した。
平塚市では職員給与を1%減額し、住宅用感震ブレーカー配布などの災害対策費を9月補正予算で計上。約1万世帯に配布する予定だが、小田原市内では行政を含め、自治会主導で感震ブレーカーを設置しようとする動きは初めて。
自治会の年間予算には組み込まれていなかったが、防災部の関口悟さん(67)が、茅ヶ崎市・本村自治会の感震ブレーカー設置の記事を新聞で読み、善は急げと防災部役員会などで提案。土地柄、防災意識も高く、話はスムーズに進んだ。
しかし、気休め程度の装置では意味がない。防災部は県防災センターや市消防所有の起震車で、震度5の揺れで重りが落ちるかの実証実験も行った。非会員の分も購入した理由を、関口さんは「自治会員の家で通電火災を防いでも、未設置の非会員の家で火が出てしまったら延焼の可能性がある。全戸やらないと火事は防げない」と説明。非会員は有料となるが、自治会内全戸設置を目指している。
設置開始から1カ月。現在、155戸に設置済みだ。各家庭でブレーカーにカバーがあったり、スイッチが固く用意した感震ブレーカーでは機能しなかったりという課題にも直面したが、現場をみて、各家庭にあった工夫を凝らして設置。また、75歳以上が260人近くいる自治会であるため、設置が困難な場合には防災部が出向き、手伝うという。
防災部長の大澤正忠さん(76)は「地震で火が出た時に消防車が来られない、水が使えないことも予想できる。ならば火を出さないようにするしかない。巨大地震が起こると言われているので、生命を守るためにも感震ブレーカーの設置を促している」と話す。土井自治会長、大澤さん、関口さんらは「地域全体の安全、安心の確保」を行動力と合理的判断で実現している。
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