小田原・箱根・湯河原・真鶴版
公開：2017年5月13日
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高校卒業後、手に職をつけようと通った県の職業訓練校。手芸科で半年間のコースを終えると、誘いを受けてそのまま講師を務めることになった。
「たった１本の糸と針から、本当にさまざまな世界が生み出されるの」。奥の深さに魅せられ、のめりこんでいった編物の世界。結婚し、子育てがひと段落して退職した後も、「結局は何かやりたくなってしまう性分」と自ら編物教室を開くことになった。
５人から始まり、最盛期には70人程抱えていた生徒も、今は30人弱。規模こそ縮小したものの、数十年にわたって通い続ける生徒も多く、三面を窓に囲まれた明るい教室には家族のような穏やかな空気が流れる。 赤ちゃん用のニット帽、恋人のマフラー、夫のセーター。「真心で編む。そうすれば人間にとって一番大切な愛情が入り込む。編物って素敵な世界よ」。チャキチャキとした語り口調が心地良い。お金を払えば何でも買うことのできる時代。「手間も時間もかかるから気が短いとできないけれど、心を豊かにしてくれる。思いをともにする生徒さん達が集う教室が大好き」
今年で80歳。「娘には目標を立てたらと言われるけれど、生徒さんたちと出会い、今までどおり教室を続けていくことが一番の幸せよ」
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