西湘ビルメンテナンス協同組合(杉崎正章代表理事)は9月30日、小田原市と市議会に公共施設包括管理業務委託に関わる要望書を提出した。8月26日に行われた公募型プロポーザルが「拙速」だとし、再考などを求める内容。
小田原市は市役所本庁舎や学校など93施設の保守点検・管理業務を、個別の入札から民間事業者に包括的に委託するための公募型プロポーザルを実施。同組合を含め6者が参加し、審査の結果9月5日に鹿島建物総合管理株式会社(本社/東京都新宿区)が優先交渉権者に選定された。業務期間は2020年4月1日から25年3月31日まで、事業費上限額は5年間で16億600万円。
プロポーザルについて同組合は、地元実務企業や商工会議所への相談はなく、大手民間企業だけの事前のサウンディング(意見や提案の把握等)をもって突然実施要項を発表したと主張。十分な準備期間がないなかで警備会社と地元の設計会社と組み、「オール小田原」による経済循環を掲げ応募したが非選定となった。
要望書では【1】業者選定・入札・契約行為は今回の委託には含めず、従前通り市が執行すること【2】プロポーザルの結果を2年間凍結し、より良き制度に変更してから実施することの2点を求めている。杉崎代表理事は「民間の手法を取り入れ効率化を図る『PPP』(官民連携)の一環として行ったものだと思う」と理解を示しつつ、「地域性を十分考慮に入れてプラットフォームを作るように国も指導している。拙速に、多くの問題を抱えるこの包括管理制度を進めてよいのか。市長の政策でもあるSDGs(エスディージーズ)の地域循環共生圏づくりとまったく違う結果を招くのでは」と疑問を呈した。
加藤憲一市長は「包括管理は将来にわたって市の施設を適切に維持管理していくために必要なものだが、地元事業者の協力なしには進められない事業。丁寧に意見交換や協議を行いながら、よい形になるよう対応していきたい」と話した。
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