委託業者とのトラブルで、横浜市公式ホームページ(HP)のリニューアルが遅れている。市は新たな業者を選定するほか、コンサルティングを導入し、当初から3年遅れの2019年度完成をめざす。
HP運営を管轄する市民局広報課によると、リニューアル作業は2億1千万円をかけて14年9月からスタート。16年4月に公開予定だったが、設計段階で委託業者とトラブルになり、作業が中断していた。昨年12月の市会本会議で、林文子市長は「(業者の)設計書や報告書が専門的な内容だったため、(市担当者が)正確に把握することが難しかった」と反省を述べ、能力や体制等を踏まえて新たな業者を選定するほか、コンサルティング業者を導入することなどを明らかにした。これにより、HPのリニューアルは3年遅れの19年度となり、新たな業者との契約やトラブル防止策として1月中に契約予定のコンサルティング費用で当初予算の約3倍になる見通しだ。
スマホに未対応
多額の費用をかけHPのリニューアルに踏み切らざるを得ないのは、その使いにくさが背景にある。市が44ある区局統括本部ごとにサイトの管理・運営を任せてきたため、ページ数が約14万に上り、内容が重複したページがあるなど情報が探しづらいだけでなく、約10万ページはHP内にリンクが張られず、たどり着くことができない状態がある。また、スマートフォン未対応で、高齢者や障害者も利用しやすいように国が定めた規格にも満たしていない。
そこで、市はウェブページの情報をデータベース化し、各サイトを一元化するほか、スマホ対応なども行うため都内の業者に依頼。しかし、15年12月に「ページを開くのに6秒かかる」と、業者から技術的問題発生の報告を受け、設計変更や納期の延長などを求められた。市が原因究明を要求するも現在まで解決に至っておらず、昨年10月に業者との契約を解除。損害賠償と不当利得1億7千万円の支払いについて法廷で争う方針だ。委託業者は「今後の裁判に関わる内容のため、コメントは差し控えたい」と明言を避けている。同課は「反省をいかして使いやすいHPを作りたい」としている。
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