様々な分野で卓越した技能を持つ人を厚生労働省が表彰する「現代の名工」150人が11月14日に発表され、区内から造園業を営む大胡(おお ご)周一郎さん(70)が選ばれた。表彰式は15日に行われ、その技能が称えられた。
大胡さんは、曽祖父の代から続く植周造園(富岡東)の4代目。曽祖父が造園した富岡東の旧川合玉堂別邸は現代に至るまで、代々、手入れや修復などに携わってきた。匠として「横浜マイスター」や「神奈川の名工」に既に認定されており、その実力は折り紙つきだ。受賞の喜びを「県造園協会が推薦してくれたおかげ。今年初めて申請したので、余計に嬉しい。ようやく父や祖父の近くまで来れたとかなという思いです」と率直に語る。
高等学校の造園科を卒業してから51年、造園業一筋に歩んできた。将来のことを考える前に、自然にこの世界に足を踏み入れていたと温和な笑顔を見せる。
大胡さんが得意とするのは、自然風の庭園だ。雑木林など武蔵野の田園風景を取り入れ、素朴さと計算された美しさを併せ持つ庭園を作り出す。伝統的な築庭技術を受け継ぎつつも、時代の変化に対応し、現代建築にあわせた個人庭園も手がけているという。
「だけど自分がいいと思った庭でも、お施主さんが満足してくれないと駄目なんです」と常に住む人の目線を失わない。庭造りは、まず施主の意向や好みを聞くことから始まるという。それから設計し、実際に石を据え、土を盛り、木を植え、形を整える―。「作る過程は苦しいことの方が多い。夜中に目が覚めて、手がけている庭について悩むことはしょっちゅう」。だが、出来上がった庭を見ると、それまでの苦しみを吹き飛ばす達成感がこみ上げてくるという。
また県立東部総合技術校(鶴見区)で講師をしたり、県造園協会で若手造園工のための勉強会を開いたりと、次代を担う後進の指導も行っている。
なお、県内からは「はやぶさ」など数々の人工衛星を担当したエンジニア西根成悦さん(横浜市緑区)や木工塗装工の大沢尚さん(同南区)ら8人が「現代の名工」に選ばれている。
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