ボブスレー黒岩選手 ソチ五輪有力候補に 20歳の「世界最小エンジン」
2月7日に開幕するソチ冬季五輪。金沢区出身の黒岩俊喜選手(20)=仙台大学=が、ボブスレー男子日本代表候補として最終選考に進んでいる。正式発表は今月19日。小柄な体型をいかした「世界最小エンジン」として五輪出場を狙い、日本最高15位の壁に挑む。
日本チームは12月、米国で行われたNAC(ノースアメリカカップ)第6戦で歴代最高の2位に輝いた。4人乗りのメンバーとして貢献したのが黒岩選手だ。
「氷上のF1」とも称されるボブスレー。そりに乗った選手は、最大時速150Kmの速さで氷のコース(全長約1300〜1500m)を滑るタイムを競う。五輪では男子は2人乗りと4人乗りが行われる。
最前部に乗るのが、そりを操作するパイロット。その後方に乗るのがブレーカー。黒岩選手の役割だ。
ブレーカーはいわば「おもり」。滑走中は空気抵抗を少なくするため小さくなる。選手の合計体重の上限が定められているほど、重さが必要になる。
体格の良い選手が揃うなか、黒岩選手の身長は172cmと女子選手よりも小柄だ。「唯一の利点は重心が低いということ。高い位置からより低い位置からの方が力が入りやすい。世界で一番そりを押しやすい位置にいる。個性と捉えている」と話す。
鍛えた脚力に自信
金沢中学校・陸上部では100mの選手として活躍。10秒77の俊足だ。橘高校(川崎市)1年の時、陸上部の顧問に薦められたのが意外にもボブスレー。「足が低いところで回るので氷の上で通用するのではと言ってくれた。でも拒み続けたんです」。目指していたのはあくまで、陸上選手としての五輪出場だった。
インターハイ出場を逃し、五輪出場の夢も破れかけた時ふと頭をよぎったのがボブスレーの道。高校3年生の夏、決意を固め強豪・仙台大学の門を叩いた。「初めて滑った時は死ぬかと思った」と振り返る。スペースシャトルよりも強いといわれる圧力に息もできなかったという。
陸上で培ったスピードが最大の武器だが、小柄さゆえのパワー不足が課題だ。一瞬にして力を引き出せるよう体幹を鍛えている。「出だしでいかにそりを押し出せるかが勝負の決め手になる」と話す。
またチームワークも欠かせない。スタートでそりを加速させ、すばやく乗りこまなければタイムロスにつながる。最年少の黒岩選手は年の離れたチームメートについて「お父さんみたい」と笑顔を見せた。信頼関係はできているという。
20歳の挑戦
現在20歳の黒岩選手の五輪出場が決まれば、パイロットとして既にソチ行きが内定している鈴木寛選手(40)の出場最年少記録に並ぶ。「二十歳(はたち)世代の代表になれるよう生活面もしっかりしたい」と新成人の誓いをたてる。
「黒岩がいないとだめだ」―そういわれる選手を目指す。ソチ五輪出場は目標だが狙うのはもっと上だ。「日本最高15位は最低限。それをどこまで超えられるか。その先を見てみたい」と力強く答えた。
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