金沢消防署は6月から9月にかけ、区内の文化財を火災から守るための調査を実施し、市内で初めて「火災防御計画」を作成した。調査では文化財の種類や保管場所を把握したほか、文化財管理者への注意喚起も行った。
調査の対象となったのは、区内17カ所の施設が管理する国や県、市指定の有形文化財83件。
文化財の約半数は県立金沢文庫で保管されているが、仏像や絵画、書籍などの多くは、区内の寺社が「文化財管理者」として保管していることが多い。同署はこれらの施設を一件ずつ訪問し、約3カ月間かけて調査したほか、火災への注意喚起も行った。
文化財を把握
きっかけは2013年に発生した旧川合玉堂別邸(富岡東)火災だ。このとき焼失した母屋は、市指定の有形文化財だった。同署の小出健署長は「一度焼失すると、仮に再建できても文化財にはならない。繰り返してはいけないという区民の思いを受けた」と話す。今年3月から4月にかけ、全国の寺社に油がまかれた事件が発生したことも、事業を始めた理由のひとつだ。
金沢区は市内で最も文化財が多い。その大部分が、木材や紙でできている。同署警防課の担当者は「万が一の火災のとき燃えやすいものが多いため、建屋をいち早く消火し、より重要性の高いものから早急に運び出す必要がある」と話す。
調査では、文化財の保管位置を確認したほか、ひとつひとつを写真撮影。一般では非公開の文化財も記録した。「手のひらに乗るサイズもあれば、大きな銅鐘もある。保管場所や、どれが文化財なのかの把握に努めた」という。
この計画は今後、消防団とも共有していく。また来年1月の文化財防火デーでは、今回の計画に基づき訓練を行う予定だ。小出署長は「調査により文化財の管理者との連携強化にもつながった。この計画を役に立て文化財を守っていきたい」と話す。
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