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「平成12年以前の住宅は耐震診断を」 構造設計一級建築士・矢野武さんに聞く
耐震基準は、1981(昭和56)年5月31日を境に旧基準、新基準に分けられている。「旧基準の対象が昭和56年5月31日以前ということはご存じの人は多いが、実は2000(平成12)年に新基準の改正が行われたことはあまり知られていない」。こう話すのは、磯子区西町の矢野建築設計事務所・矢野武構造設計一級建築士。9月1日の防災の日を前に、注意すべき耐震のポイントについて話を聞いた。
新基準でも注意が必要
1981年に建築基準法が改正され震度6強でも倒壊しない耐震性能が義務化された。1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物を「旧耐震基準」としそれ以降を「新耐震基準」と定めている。
1995年の阪神・淡路大震災で多くの木造住宅が倒壊したことから2000年に新基準の改正が行われた。主な変更点は【1】耐震壁をバランスよく配置すること【2】筋交いや柱、梁を金物で緊結すること―の2つ。改正前は南側に大きな窓を設け壁が少なく、北側に便所、浴室などを置き壁が多い耐震壁のバランスが悪い住宅も見られた。義務ではなかったため金物が使われない住宅も多くあった。
昨年4月の熊本地震では、新基準の木造住宅にも多くの被害が確認された。地震発生後に熊本を訪れた矢野さんは、比較的新しい住宅の倒壊も確認したという。「おそらく柱や筋交いなどの接続に金物が使われていなかったことが原因だと思われる」と矢野さんは説明する。こうした状況から「比較的新しい住宅だからと安心するのではなく新基準で平成12年以前の住宅は一度専門家に見てもらう必要がある」と訴える。
誰に相談すればいい?
一級建築士の中でも、特に耐震構造などの専門的な知識や技術を持つ資格が「構造設計一級建築士」だ。35万人いるといわれる一級建築士の中でこの資格を持つのは9千人程度。矢野さんは、構造設計一級建築士への相談を勧めている。国や市が耐震化に力を入れている緊急輸送道路沿いの建物や不特定多数が使用する建物、テナントビル、マンションなどの耐震化に関しては、構造設計一級建築士の関与が望ましいという。耐震偽装事件を機に、一定規模以上の建物の新築等では法律でその関与が義務付けられている。「専門家への相談は費用がかかるが大切なマイホームを守るためにぜひ考えてほしい。避難所生活も避けられるはず」と矢野さんは話している。
■取材協力/(株)矢野建築設計事務所 磯子区西町14の11神奈川県総合薬事保健センター3階 【電話】045・751・2889
株式会社矢野建築設計事務所
磯子区西町14‐11県総合薬事保健センター3階
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