横浜市 大規模団地の再生を支援 高齢化や老朽化に対応
横浜市は居住者の高齢化や建物の老朽化などの問題を抱える郊外部に位置する大規模団地の再活性化に向け、モデル事業の対象となる団地の募集を7月から始めた。9月中に複数の団地を選定し、再生支援に乗り出す。
横浜市では高度経済成長期に、「東京のベッドタウン」として大規模団地や集合住宅が数多く建設された。しかし、居住者の高齢化が進み、若年層が転出するなど地域活力の低下や買い物弱者の増加など多くの問題が発生している。一部の団地では「高齢者買い物サービス」を実施するなど、独自の取り組みも見られるが、多くの団地はそうではない。
大規模団地の状況を把握するため市は12年度、市内の築30年以上で約500戸以上の61団地(※賃貸33カ所・分譲28カ所)を調査。最近10年間(※00年〜10年の数値)の人口増加率や高齢者・年少者増減率を調べた。結果、高齢化率は横浜市平均の20・1%に対し、賃貸32・4%、分譲29・3%と、それぞれ約1・5倍の数値。年少人口比率は同13・5%に対し、賃貸8・4%、分譲8・7%となり、少子・高齢化が顕著に進んでいることが判明した。
市建築局担当者は「(大規模団地の高齢化率・年少人口比率は)市全体の25年先の数値と、ほぼ同じ状況になっている」と指摘。調査対象となった青葉区すすき野団地の佐々木勝幸会長は「約3分の1が高齢者世帯。団地内だけでなく、地域全体で考えていく必要があるのでは」と漏らす。
モデル事業始まる
市は現在、高齢化や子育て世代の誘致など個々の課題解決に向け、取り組む集合住宅団地から質問を受付けている。9月中には規模や課題を踏まえた上で、モデル事業として2から3の団地を選定。11の政策タイプの中から、対象団地を「高齢者・子育てサービス強化型」や「住宅リノベーション型」などに分け、課題解決に向けた「団地再生マスタープラン」を作成する。
再活性化に取り組むモデル団地などの募集にあたり市は7月13日、「郊外部の集合住宅団地のこれからを考える」と題したキックオフセミナーを実施。団地住民など200人以上が参加し、団地の現状などについて説明が行われた。
港南台つぐみ団地に住む男性は「(築37年が経過している)建て替えは時間も費用もかかるので、将来を見据えて参加した」と話す。
市建築局・住宅計画課長の黒田浩さんは「(大規模団地では)買い物弱者や孤独死など色々な問題があります。モデル事業を通し、団地再生を全市に波及させていきたい」と話した。
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