子安浜の漁師の子どもたちに教育の機会を与えたいという教師たちの熱意で、1948(昭和23)年に全国で初めて誕生した浦島丘中学校の夜間学級(夜間中学)。65年が経った今、その役割を一変させ、今年4月以降は「閉級」状態となっている。
歴史的役割が一変
浦島丘中には、公立校として全国に35校しかない夜間学級がある。同校の20年史によると、戦後間もない子安浜では、子どもも貴重な労働力として朝から夕方まで漁に出ており、昼間の学校に行く時間などなかった。そこで教師たちは、浦島丘中の分校として夜間学級を開設する旨を漁業協同組合に持ちかけた。反対する親も多かったが、なんとか説得することに成功。非公式ながら1948年2月4日に、全国で初めてとされる夜間中学(生徒数83人)が誕生。開級式は子安通にあった漁業協同組合事務所で行われた=写真。
市教育委員会は1950年に、条例で浦島丘中のほか市内9校の夜間学級の設置を認めた。しかし、子安浜の漁師たちが東京湾の埋め立てによる海洋汚染によって転業を余儀なくされたこともあり、生徒数は次第に減少していった。
現在は「義務教育未修了者に中学校教育課程を履修させ、卒業資格を与えること」などを目的に、市内5中学校(浦島丘・鶴見・西・仲尾台・蒔田)で13人の生徒が夜間学級に通う。かつてと異なるのは、外国籍の生徒が大半を占めている点。しかも、西中では昨年度から、浦島丘中でも今年度から生徒数0人の「閉級」状態となっている。
対象者は約2万人
ボランティアとして17年にわたり生徒を指導していた三階泰子さんは「市内の夜間学級の対象者は約2万人とも推定されている。13人しか在籍していないのは、単に市のPR不足ではないか。夜間学級専任の教諭がいないのも問題だ」と指摘する。これについて市教委指導企画課では「兼務することで教諭に負担がかかっているのは事実。すでに、夜間学級の諸問題については検討中です。近いうちに方向性を示せると思います」としている。
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