みどりアップ5か年計画 樹林地指定、4割どまり 年度末達成が困難に
横浜みどりアップ計画の根幹となる緑地保全制度による地区指定について、2009年度からの指定面積が8月末で451・4haと、5か年目標1119・4haの4割程の達成率にとどまっていることが分かった。このままでは今年度末までの達成は困難な状況。次期案では「実現可能なライン」を掲げるが、目標設定や結果の精度も求められそうだ。
市域の緑の減少に歯止めをかけ、緑豊かな横浜を次世代に継承しようと市が進めている同計画は【1】樹林地を守る【2】農地を守る【3】緑をつくる--の3つを柱としている。中でも、市が計画の根幹と位置付ける一つが、樹林地を守る取り組みに属する緑地保全制度による地区指定の拡大だ。
市によると、緑地保全指定の対象となる樹林地総面積は約2830ha。計画に掲げた目標値は、この3分の2にあたる樹林地(計画以前の既指定地域約830ha含む)を13年度までの5年間に保全指定しようというものだった。担当者は「(目標は)苦渋の設定。できるできないではなく、そのくらいでなければ緑の減少に歯止めがかからないと考えた」と明かす。
市、成果も強調
市は、目標の4割にとどまっている要因に目標自体の高さや努力不足、一部交渉の難航を挙げながらも、年間約100haを指定した実績には「1haは小さめの小学校1校分の面積。大変な数字を成し遂げた」とした。08年度以前5か年の指定実績の平均は年約20ha。09年度からは、およそ5倍のペースで指定が進んだことになる。
緑地保全制度で指定されると、法律や条例に基づく制度の種類により【1】固定資産税等の減免【2】相続税評価額8割減【3】市への買い入れ申し出が可能--等の優遇措置がある。土地所有者の中には緑を保全する必要性を感じている人も多いため、市では粘り強く交渉を続けていく方針。09年度に続き、14年度には方面別に説明会も実施したい考えだ。
次期案は「現実的」に
現在策定中の14年度からの新案「(仮称)これからの緑の取組」では、18年度まで5か年の指定目標を500haに設定、概ね年100haを想定している。これまでの取り組みによって樹林地の減少傾向に鈍化が見られる現状や実績等を踏まえて掲げたのが、現実的な目標。担当者は「最終的には対象全ての指定が目標。樹林地の保全は効果が見えにくいが、10年、20年、100年後に緑が残っていて良かったと思えるはず」と話している。
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