宮前区野川と高津区千年にまたがり、市内初の国指定史跡となった橘樹官衙遺跡群(たちばなかんがいせきぐん)。現在その活用について市の計画が練られている。議会では学習教材としてジオラマ等資料展示や、散策路の整備などの提案もあり、史跡を活かしたまちづくりが注目される。
橘樹官衙遺跡群は、古代武蔵国橘樹郡の役所跡「橘樹郡衙(ぐんが)跡」と、その西側に隣接する「影向寺(ようごうじ)遺跡」で構成される。
全国で発見されている郡衙跡は約60ヵ所あるが、郡寺とともに発見されるケースは珍しく「地方官衙の経過を辿れる希少な遺跡」として評価され、2015年3月に市内では初の国史跡に指定された。
福田紀彦市長は指定答申時に、「今後、市の貴重な宝として50年、100年先を見据えた整備を行い、全国にその魅力を発信し、本市のさらなる文化的発展につなげたい」としていた。
そこで市は、昨年度に大学の考古学教授や文化財研究員ら学識者のほか、オブザーバーに地元保存会、町会のメンバーらも含めた調査整備委員会を発足。同遺跡群の管理・活用に関してのマスタープランとなる保存活用計画を今年度中に策定すべく検討を進めている。
市教委は「具体的な整備等については、保存活用計画を踏まえて、18年度以降になる」とし、国史跡を活かしたまちづくりを模索していく。
議会ではジオラマ展示案も
一方、昨年12月の市議会で、長年にわたり閉鎖されている高津区子母口の橘公園内にある旧西部公園事務所の活用案を議論。
その中で地域にある橘樹官衙遺跡群をはじめとする貝塚や古墳を活かした【1】学習用教材とするために公園事務所内に当時を再現したジオラマ展示等資料館を設ける【2】より身近な資源とするため公園を含めた緑地等とつないだ散策路を整備する―といった提案がされた。
それに対し教育長は、「有用」としつつ、「同遺跡群の保存活用計画を受けた上で、関係局区と検討したい」と答弁している。
同遺跡群の橘樹郡衙は奈良・平安時代の役所とみられており、9世紀中ごろに姿を消したことが明らかになっている。一方、影向寺は、古代の影向寺が7世紀後半から8世紀前半の創建と推定されている。
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