命と暮らしを守り、未来を切り拓く 神奈川県議会議員 しきだ博昭
未曽有の被害をもたらした東日本大震災から10年が経過しました。
改めて、犠牲となられた多くの方々に哀悼の誠を捧げます。
このたび、日頃より大変お世話になっておりますエッセンシャル・マネジメント・スクール(EMS)代表の西條剛央氏が、『クライシスマネジメントの本質』(山川出版)を出版されました。
この本は、東日本大震災発生時、宮城県石巻市の大川小学校において、学校管理下の73名の児童と11名の教職員等が津波の犠牲となった事故を科学的に検証するとともに、生存率わずか5・6%という戦後教育史にあって最悪の大参事をもたらした悲劇を二度と繰り返してはならないという強い決意のもと、この事故を教訓として、未来につなげていくために書き上げた西條氏渾身の書であり、「読む防災グッズ」と紹介されるなど、各方面から高く評価されています。
本質を見極め実践する「本質行動学」を提唱し、大川小学校事故が、形式主義、前例主義、事なかれ主義、さらには組織の機能不全と意思決定の欠如がもたらした人災であると鋭く指摘しています。
例えば、大川小学校の避難マニュアルは、海のない山梨県のものを参考に作成され、津波に対応していなかったこと、マニュアルの見直しも行われず、訓練も形骸化していたこと、さらに実践的な訓練を通じた意思決定の手順が明確化されていなかったことなどが、西條氏の調査やご遺族が提起した裁判等を通じ、次々と明らかとなり、石巻市をはじめ行政は、その責任を厳しく問われるに至りました。
「なぜ、5分もあれば逃げ込める裏山に避難させなかったのか?」「なぜ、安全な裏山でなく、危険な川沿いの空き地に児童を誘導したのか?」「なぜ、最も安全であるはずの学校で多くの児童のかけがえのない命が失われてしまったのか?」といったご遺族の疑問や無念さに寄り添い、この辛い経験を未来に生かしていかなければなりません。
私は、去る7月20日、西條氏とともに河野太郎ワクチン担当大臣のもとを訪れました。
2016年7月16日、当時、防災担当大臣であった河野大臣に、西條氏より、地震発生時におけるアラートの発出方法の見直しを提言し、河野大臣の英断により、即座に変更・運用されることとなった経緯が本書の中で紹介されたことをご報告しつつ本書をお届けしました。
西條氏は、本震の後の地震、いわゆる余震は、本震よりも小さいと思い込んでいる人が多く、本震か、余震か、または、予震かといった判断は、のちの分析等によってなされるものであり、断続的に地震が発生している状況下で、不確定な情報、とりわけ、人々の警戒感を解くような情報発信をすべきではないとの持論を展開されました。
河野大臣の素早い対応により、地震発生時のアナウンス内容に、「今後、同規模の地震が発生する可能性があります…」という注意喚起を促すメッセージが付け加えられるようになりました。
西條氏曰く、「このアラートの発出方法の改善により、多くの命が救われた。そして、これからも救われるであろう。」と河野大臣の英断と行動力に惜しみない賛辞を送られました。
7月20日の面談には、河野大臣の懐刀である鈴木けいすけ衆議院議員にも同席していただき、喫緊の課題であるワクチン接種をはじめとするコロナ対策や、地震・集中豪雨等の自然災害への対応といった危機管理全般にわたる様々な課題を中心に活発な意見交換を行いました。
大川小学校事故の教訓や、これまでの経験を今後の災害対策・危機管理に生かし、人々の命を守り、地域の安全と暮らしの安心の確保に、地元選出の鈴木けいすけ衆議院議員、草間剛・長谷川琢磨両市会議員とともに、国会・県会・市会議員一丸となって取り組んでいきたいと思います。
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