皇居・宮殿で1月14日、宮中行事の「歌会始の儀」が行われ、中川在住の古川文良さん(46)の歌が入選し、天皇、皇后両陛下の前で詠みあげられた。「本」を題に約2万首の応募の中から選出された古川さん。幼い日の母との思い出をつづった素朴な歌が評価された。
歌会始の儀は新春恒例の宮中行事で、共通の題で歌を詠みあうもの。天皇皇后両陛下や皇族方の歌が披露されるほか、一般人も参加できる数少ない行事だ。『万葉集』には歌会に関する歌が記載されており、古くは奈良時代から行われているという。現在のように国民から作品を募る形式になったのは明治時代ごろといわれている。
今年の題は「本」。2万861首の応募作品から、古川さんを含む入選者10人が発表された。古川さんの歌は「雉さんのあたりで遠のく母の声いつも渡れぬ鬼のすむ島」。寝る前に母に読んでもらった絵本『桃太郎』で、雉が出てくる場面でいつも眠ってしまうという、幼い日の母との思い出を歌にした。
当日は古川さんも皇居に招かれ、皇族が参列する中で、古川さんの歌が詠みあげられた。その後は天皇陛下との謁見、入選者との食事会も催された。古川さんは「まさか私の歌が選ばれるとは思っていなくて、驚きました。天皇陛下からお言葉もいただき、貴重な体験ができました」と振り返った。
合気道道場の仲間と応募
古川さんは化粧品会社に勤めるサラリーマン。歌に触れたのは2年前、毎週通う合気道道場の先生の誘いからだったという。道場内で小さな歌会を行うこともあり、仲間とともに歌会始の儀に応募したことが今回の参加のきっかけとなった。古川さんは「道場のみんなも喜んでくれました。これを励みに、今後もささやかに続けていきたい」と笑顔を見せた。
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