コラム「学校と社会をつなぎ直す」【11】 ICT機器は文房具である 桐蔭学園理事長 溝上慎一
コロナ禍を通して世界的に露見した、日本の学校教育の貧弱さの1つはPC・タブレット等端末のICT利用である。
OECDのPISA2018調査の結果から、日本の子ども(調査対象は中3生)は、YouTubeを見たりゲームをするのにスマホ等のデジタル機器をよく使うが、学校で「コンピュータを使って宿題をする」「学校の勉強のためにインターネット上のサイトを見る」との回答は5%未満であることが明らかとなった。OECD加盟国の中で最低である。
遅ればせながら19年12月、学校で1人1台の端末、教室等でのWi‐Fi環境の整備を進めるGIGAスクール構想が予算化された。しかし、実施を目前にコロナ禍に見舞われた。ポストコロナを見据えての課題は、今整備しているICT機器の利用年数の見定めである。性能を考えれば長くても5年と考えた方がいい。しかし、5年後に今回のGIGAスクール構想のような巨額の予算をつけることは無理だと見られている。学校も家庭も今回の補助金をスタートアップとして、ICT学習環境を自前で整備する計画が必要である。
ICT機器は「文房具」のようなものである。高価ではあるが、これ無しではこれからの「Society5・0」の社会を力強く生きてはいけない。経済的に困窮する家庭には、自治体からの財政的な支援が必要である。次は国に求めても出てこない。この5年が勝負である。
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