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スパイラルテーピング療法 貼って整える筋肉のバランス 取材協力:アンポ接骨院
スポーツに行楽にと、何かと身体を動かす機会の多い季節。そんな時、自分の身体の調子が気になる方も多いはず。そこで今回は、一般の人や、陸上・野球・サッカーなどのアスリートが受けて最近注目を集めている、スパイラルテーピング療法について、スパイラルテーピング協会関東ブロック長を務めるアンポ接骨院の安保純一院長に話を聞いた。
「原因」の解明から
――今年も取材協力をしていただきありがとうございます。この企画を待ち望む声もあるので、またよろしくお願いします。一年ぶりのため、前回と重複する内容もあるかと思いますが、まずはアンポ接骨院の特徴から聞かせて下さい。
安保院長 こんにちは。またよろしくお願いします。
当院がほかの接骨院と違うところは、専門検査機器を使い「どこに痛みの原因があるのか」を確実に突き止めるところです。
筋肉や関節の痛みには、大きく分けて3つの原因があります。
1つ目は内科的疾患からくる痛み。風邪や花粉症などのアレルギー、自律神経など心因性のものや、熱・冷えも含まれます。
2つ目は器質的疾患です。これは痛む部分そのものが悪い場合です。打撲や捻挫による炎症性、または変形性のものです。
3つ目は機能的疾患といって、器質的に悪い部分が長期にわたり痛むため、無意識に痛みの和らぐ姿勢へと身体をひねって逃避しているうちに、他の部分に痛みが出てしまうものです。このように、痛みの原因は一人ひとり違うのです。
火事で例えれば、痛みは煙の出ているところ。煙に水をかけても火は消えませんよね。では火元はどこにあるのか。それを当院ではコンピュータで数値化して解析し、一人ひとりに細かく説明しながら、火元(原因)に対してテープの刺激で処置していきます。
ただし、この治療法で何回か処置して変化が見られない場合は、身体の何処かに痛みの取れない原因が強く存在していることも考えられますので、病院で細かい検査を受けることをお勧めします。
科学に基づいた施術
私たちが行うのは痛い部分を固定するテーピングでなく、皮膚感覚器を介して身体のバランスを調整する神経に働きかける刺激療法。なので、テーピングで筋力を高めたり、緊張を解いたりして、一人ひとりのバランスの崩れ方に合わせた処置をしていきます。
ゲートコントロールといって、痛みが脳へ伝わる時、脊髄後角内に痛みを伝えるか、遮断するかのゲート(門)があり、門を開けるのが痛覚神経からの刺激で、閉じるのがその他の感覚神経(特に触圧覚)からの刺激だという理論も含まれます。
――うーん、ちょっと難しいですね。
安保院長 ははっ(笑)。理解できなくて当然です。ただ科学性を持って施術していると分かっていただければ。ゲートが開く時は、自律神経のバランスが崩れている時やマイナス気分の時、過度なストレスが持続している時なので痛み刺激が増大します。一方、ゲートが閉じる時は、自律神経のバランスが良い時やプラス気分の時なので痛み刺激が減少するということですね。
簡単に言うと、要はテープで身体をコントロールするのです。したがって、テープを貼ったその場で変化が現れます。また投薬と違い副作用もありません。
もしもテープでかぶれてしまうなど、皮膚の弱い方であれば、スパイラル通電療法やスパイラル運動療法もありますので、お気軽に相談して下さい。
「揉まない治療法」
――こちらでは、揉む治療はしないのですか?
安保院長 はい。人の手の力で揉んで、全身の筋肉のバランスを整えることはできません。マッサージで筋肉の緊張が緩んで楽になったと感じても、それは一時的に血行が良くなっただけで症状が回復したわけではないのです。
また、強いマッサージは筋線維を破壊し、俗にいう「揉み返し」になる恐れがあります。それでも自分で何かしたいと思う人は、揉まずに手のひらでさすった方がちょっとした痛みや違和感は緩和されるでしょう。
――自律神経の不調や更年期障害、生理痛等のホルモンバランスの不良もテープで改善できるのですか?
安保院長 はい。科学的検査や東洋医学的検査により処置法は決定します。例えば東洋医学的な処置法でいえば経絡の三焦経で交感神経を、心包経で副交感神経を、テープで調整します。
――実は私、顎を開けるとガクッとずれて痛いのですが……
安保院長 顎の開口痛や制限、顔面神経痛は第3頸椎、第4頸椎をテープで刺激すれば有効ですよ。
アスリートにも愛用者
――スパイラルテーピングといえば、男子フィギュアスケートの羽生結弦選手が、これを貼って活躍していると雑誌やメディアが取り上げていましたね。
安保院長 はい。当協会東北ブロックの会員がJOC公式トレーナーとして羽生選手に同行し、練習のたびに体調や筋肉のバランスをチェックして、その時の状態に合わせたテーピング処置を施して体幹のバランスを修正しています。
また、今回ヘルシンキの世界選手権で羽生選手が素晴らしい演技をされ、劇的な逆転優勝を飾ったことを当協会関東ブロック長として心よりお祝い申し上げます。
――以前、箱根駅伝で山梨学院大学の選手たちが身体のあちこちに貼り、話題になったことがありました。
安保院長 そんな時もありましたね。昨年の大晦日のスーパーバンタム級ボクシングの試合では、低かった下馬評をくつがえして見事チャンピオンに輝いた小國以載選手が試合直前までスパイラルテーピングでバランスを調整し、試合本番ではテーピング理論をもとに作成したスパッツを履きました。スパイラルテーピングは現在、多くの個人アスリートが活用しています。
高齢者に必要な体力は
――近年、高齢者のなかでも、ロコモやサルコペア、フレイルなどと色々な横文字で表現される症状が、大きな問題として取り上げられるようになりました。
安保院長 これらは全て、加齢に伴う筋肉の減少や運動不足によって生じる症候群のことを言います。一般的な対処法として、歩くことや筋力トレーニングなどの運動が奨励されています。
しかし、体力が衰えたお年寄りに体力増進のためにと、やたらと運動を奨励するのは果たして正しいことなのか大いに疑問です。特に足腰にトラブルを抱えたお年寄りに体力をつけるための運動が必要でしょうか。つまり、運動・スポーツからみた体力ではなく、日常を健やかに過ごすための体力の尺度が必要なのではないか、ということで我々は「スパイラル体操」を考案しました。特にバランスを重視したもので、一般的な体操とは異なった視点から身体を捉え、足の指先にまで配慮をめぐらせたほかに類をみない体操です。現在は、年3回、無料の体操教室を当院で開催していますが、大好評をいただいております。
――この治療法は全国にあるのですか?
安保院長 はい。協会本部は大阪にあり、柔道整復師、鍼灸師である田中信孝先生が考案して設立し、現在全国に536名の会員(医師、柔道整復師、鍼灸師)がおります。ただ、皆さんのお住まいの近くにあるかどうかは、スパイラルテーピング協会にお気軽に問い合わせてみて下さい。
このテーピングは一般の方からアスリートのサポートまでできる治療法です。
すべては、からだのバランスからです。
※症状によっては健康保険適用外となります。
協力=スパイラル・テーピング協会顧問 羽間鋭雄先生、札幌医科大学教授 當瀬規嗣先生
ランナーを陰で支えるボランティアで救護活動
スパイラルテーピング協会(田中信孝会長)は、全国のマラソンやトライアスロンの大会において、ランナーの怪我を処置するためのボランティア活動を継続して行っている。
ボランティアスタッフは同協会所属の医師や柔道整復師、鍼灸師などから構成されており、全員が国家資格保持者だ。捻挫や肉離れ、筋肉痛を発症したランナーにスパイラルテーピングを施すほか、医師の指示のもと、骨折の応急処置、吐き気やけいれんを起こしたランナーに処置を行うこともある。処置を行ったランナーからは、足の痛みがその場で変化したことに対し、驚きの声が上がったという。
同会は今後も、アスリートの痛みを少しでも改善していけるよう、活動を続けていく。
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