ここ数年、コロナ禍の巣ごもり需要でペットを飼う人が増加している。中でも人気を集めているのが、今年の干支であるウサギだ。一方、ウサギの生態や習性について知識がないまま安易に飼い始める人も多く「思っていたイメージと違う」と飼育放棄が社会問題に。昨年県内で、夫婦が自宅で飼っていたウサギ2匹が2年で200匹にまで増え、多頭飼育崩壊を起こしたニュースは記憶に新しい。身近だけれど意外と知らない、ウサギの生態について迫った。
ペット保険を扱うアニコム損害保険によると、自社のウサギの保険契約数は2万1604匹(2020年度調べ)。コロナ前の18年度の約1・8倍になった。「犬や猫に比べるとまだ少ないが、コロナ禍のペットブームに比例してウサギを飼う人が増えている」と話す。横浜市動物愛護センターによると「ウサギは登録制度がないため飼育数は把握できていない」というが、国内の家庭で飼われているウサギは約75万匹(ワールドラビットファンクラブ推計)ともいわれている。
日中は昼寝タイム
JR根岸駅近くの「うさぎの専門店・うさぎのしっぽ横浜店」(磯子区西町)のスタッフ、清水織恵さんによると、同店に訪れる人は子連れファミリーのほか「若い夫婦や一人暮らしが多い」という。ウサギは食物連鎖の中で最下位に属し、自然界の中では捕食される動物のため、(肉食動物が活動しない)明け方や夕方に活動し、鳴き声も出さない。仕事などで日中留守にする飼い主と生活時間が合うのも選ばれる理由の一つだ。地面に掘った巣穴で暮らすウサギの習性から、ケージの中で飼っても比較的おとなしくしているが、ストレスや運動不足解消のため、1日1回室内を散歩させる通称「部屋んぽ」のスペース(1〜2畳程)を確保する必要がある。最近では、ウサギの習性を理解し放し飼いをする飼い主も増えているが、安易に放し飼いをすると、ウサギが問題行動を起こすこともある。
平均寿命は7〜8年、中には10年以上の長生きするウサギも。日本で人気のネザーランドドワーフやホーランドロップなどは繁殖力は高くないが、ミニウサギなどの雑種で、オスとメスを一緒に飼育すると当然増えてしまう。「病気はギリギリまで隠す」習性の上、感情が表情に出づらいため、毎日の健康チェックは必須だ。いずれもウサギが自然界で生き抜くための生態と思うと理解しやすいだろう。
好物はニンジン!?
ウサギの性格や行動は個体差が大きいというが、元来甘えん坊で好奇心旺盛。なでられるのも大好き。一見表情がないように見えるが、嫌なことがあると後ろ足を踏み鳴らす「足ダン」や鼻をブーブー鳴らす感情表現も。「周りの人や動物に順位付けをします。家族の順位は、ごはんをくれる人というわけではなく、ウサギから見た力関係だと思います」と清水さん。名前を呼んで来るのは覚えているのではなく「名前を呼ばれると餌がもらえる」といった良い体験と結びつけているからだという。
ちなみに、「ウサギ=ニンジン」のイメージが強いが、実際の主食は牧草やペレット。ニンジンなどの野菜は、あくまでもおやつの位置づけだ。
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同店を運営する(有)オーグでは「うさフェスタ」(次回は3月11・12日、中区の横浜産貿ホールで開催)などの交流イベントを通じて、飼い主やペットメーカー、獣医師などが互いにウサギへの理解を深め合う活動に力を入れており「命あるもの。ただ可愛いからというだけでなく、習性や魅力を知った上で、ウサギとの生活を楽しんで欲しい」と話している。
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