旧規格の消火器の交換期限が今年12月末までに迫る中、横浜市内の設置対象のうち少なくとも約1万4千件で旧規格が残されている可能性があることが市消防局への取材で分かった。旧規格の設置を続けると法令違反となる上、古い消火器の使用は事故の恐れもあり、同局は点検・交換を呼びかけている。
消火器は安全のために、建物の種類や面積に応じて消防法で設置が義務付けられている。過去には老朽化した消火器の操作・廃棄処理時に破裂事故が発生したことを受け、安全対策として国が2011年から規格を変更。同年以前に製造された旧規格は、今年12月末までに交換することが定められた。来年以降も旧規格を設置し続けると法令違反となり、30万円以下の罰金、または拘留となる場合がある。
市内1・4万件が未点検
市消防局によると、市内の消火器設置対象は飲食店や福祉施設、集合住宅など、約9万4千件(20年末時点)。設置対象は定期的に点検して結果を管轄の消防署に報告する必要があるが、点検を20年以上行っていない事業所などが約1万4千件にのぼるという。同局担当者は「20年も点検をしていなければ全く手がつけられておらず、旧規格が残されている可能性がある」と指摘する。
適応火災を「絵」で表示
新規格には安全の観点から注意事項が細かく記載され、「普通火災用」「油火災用」などの適応火災マークを絵で表示。旧規格は文字表示のため、このマークが新旧を見分ける目印となる。
同局はこれまでも個別の啓発などを通して点検・交換の周知に努めてきたが、対象の多さなどから思うように進んでいないのが現状だ。そこで、消防用設備の設置や保守点検を行う横浜市防災機器販売協同組合と連携。同組合に加盟する27社が日頃の業務とあわせて広報を行うとともに、交換状況を確認して同局に報告することで、点検の周知と交換を進める狙いだ。同組合の佐藤康司代表理事は「安全に関わること。少しでも状況が改善されるように取り組みたい」と話している。
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