ミスター高橋の 連載 「貯筋」の心得 ㉚明暗を分けた二人
プロレス人気の絶頂期、史上最狂の悪役を演じた二人の男がいた。その男とは、未だ悪名高き、呪術師アブドーラ・ザ・ブッチャーと狂虎タイガー・ジェット・シンである。二人ともすでに70歳の半ば、プロレスはとうに引退している。表題の、「明暗を分けた」とは健康状態のことである。
ブッチャーはアメリカのジョージア州アトランタ在住だが、歩行もままならない車椅子生活。片やタイガーはカナダのオンタリオ州ミルトンの公立校で、名誉校長を務めるばりばりの現役。二人はなぜ明暗を分けたのか―。単刀直入に言えば、トレーニングの好き嫌いである。二人とは長年寝食を共にした仲だから、個性の違いは熟知している。
ブッチャーは錦衣玉食の成り行き任せ。しかも試合以外で身体を動かすことはあまりしない。その習癖は現役引退後も変わることなく、必然的に足腰の筋肉はみるみる衰え、160kgの体重を支えきれずに車椅子生活を余儀なくされている。タイガーの方はシーク教の訓諭を守る倹約家。トレーニングにおいても、試合場入りする前の僅かな時間を見つけ、ヒンズー・スクワットで汗を流していた。2012年、彼の家を訪問した際に驚いたのだが、何とプライベートのトレーニングジムを設えていた。
二人とも苦労人である。ブッチャーは鉄道駅のポーターから、タイガーは16歳でインドからカナダへ移住し身を起こした。プロレスで大金を稼いだ二人だが、今のブッチャーは安アパートで1人暮らし。タイガーは12万6000坪の敷地に建つ邸宅で大家族生活。
『貯金』と『貯筋』、双方とも先を見据えた計画性が肝要ですね。
|
|
|
|
|
|