横浜市内の公立小中学校で2018年度に認知したいじめは前年度から19・3%増の5546件で、いじめの定義を厳格化した13年後の調査で過去最多を更新した。17日に市教育委員会が発表した調査結果でわかった。
いじめの認知件数は小中学校ともに増加し、小学校では前年比557件(15・6%)増の4123件、中学校では前年比340件(31・4%)増の1423件だった。
いじめ行為の内容は小中学校とも「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が多く、全体の66・7%を占めている。特に小学校では「軽くぶつかられた」「ひどくぶつかられた」が計28・5%、「嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする」が11・5%あり、直接的な行為による被害を訴えるケースも多いことがわかった。
市「意識高まりの結果」
いじめの認知件数の増加について、市教委は「いじめの定義の理解が浸透し、早期の小さな段階から『学校いじめ防止対策委員会』で組織的に対応したことや意識が高まった結果だと考えられる」と説明。担当者は「軽微なものや小学生低学年の暴力行為についてもカウントするようになり、認知件数の増加につながった。まだ隠れている行為もあるとみて、認知を進めていきたい」と話す。
「別な理由、精査を」
不登校やいじめ問題に詳しいNPO法人青少年育成開発協会の山本弘明代表は「保護者が過敏になっている面がある。かつてなら取り合わないようなケースまでいじめ扱いされている」とした上で「子どもは社会の流れと連動する。不確実な社会を背景に親世代がイライラしているなか、感受性の高い子どもたちは影響を受けやすい」と増加の要因を分析する。
教育臨床科学が専門の星槎大学大学院教育学研究科の仁平義明教授は「(行政は)増加する度に『理解の浸透』と『組織的な対応』を理由に挙げている。取組が進んだのなら、このペースで増加するのは矛盾している。理解が浸透したのは確かだが、別な理由を考え、実態を精査することが必要」と指摘している。
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