市政報告 市民の声を議会へ 日本共産党横浜市会議員 宇佐美さやか
2021年度の予算は…
第1回市会定例会は、2月1日から3月23日まで開かれました。会期の後半は、2021年度の予算案が審議されましたが、みなさんが新年度予算に求めているのは、恐らく新型コロナウイルス感染症から命とくらしを守るための対策ではないでしょうか。
しかし、残念なことに、市の新型コロナ対策予算は、ほとんどが国からの交付金の範囲でしかありません。
2兆円を超える一般会計のうち「市民と医療を守る」として計上された予算は、360億円。しかもそのうち250億円は、全額国費のワクチン接種経費と県からの交付金です。コロナ禍から市内経済と市民生活を守るための予算は、わずか40億円しかありません。しかもその中には、感染拡大で一旦中断していた横浜Go Toキャンペーン事業等の予算2億5千万円が含まれているのです。
まずは、検査体制の強化を
新型コロナの最大の怖さは、症状が出ていない無症状の時から他人にうつしてしまうところです。だからこそ、いかに早く無症状者を見つけるかが大切です。新型コロナを収束させるためには、ワクチン接種頼みだけでなく、大規模なPCR検査を合わせて実施することがどうしても必要となります。
緊急事態宣言下で感染者数が減った今こそ、横浜でも、北九州市、神戸市、世田谷区などのように社会的PCR検査が必要です。私たち日本共産党横浜市会議員団は新年度予算で、県が実施する高齢者入所施設等の職員への定期的な検査に加え、通所施設や学校、病院も含めてPCR検査の対象を広げるように求めてきました。
ところが、林文子市長は、「事業費や人手が足りない」「対象者の拡大は、有識者の中でも検査の精度が7割しかない、有限な資源の配分のあり方について意見が分かれている」と、拒否しました。
その事業は、必要ですか?
いつ来るかもわからないワクチンを待ち、検査は対象者を拡げずというのも、もう既に横浜市は「アフターコロナを見据えて」と別の次元の話をしていることからもお分かりの様に、コロナは「終わったこと」にしたいようです。
予算でも、IRカジノ誘致、2027年の国際園芸博覧会の開催、都心臨海部のイルミネーション、新たな劇場整備、先にあるように横浜版Go Toキャンペーンなど、本当に今必要なのか疑問に思います。もちろん、これらの不要不急の事業を見直しするよう議会で質し、最終日には、予算組み替え動議の提案も行いました。
デジタル化をなぜ急ぐ?
予算では、デジタル化統括本部を29人体制で立ち上げました。その予算は、223億円がついています。この予算は、市民と医療を守るための感染拡大防止対策と医療提供体制確保を含めた予算67億円の3・5倍です。菅政権の目玉政策として進めるデジタル化は、国や企業が国民の個人情報保護などをないがしろしたまま行政が保有する個人データの利活用を広げるものです。デジタル化による市民の求める行政サービスのあり方や行政目的をはっきりさせることが不可欠です。そして、どんなにデジタル化が進もうと個人の尊厳がしっかり守られるべきだと考えています。
IRカジノ広報よこはまを利用しての宣伝
2021年度も予算でIRカジノ誘致にむけてインフラ整備調査費等3億6000万円、山下ふ頭のIR事業用地整備には、58億円も計上されました。
3月14日には、3回目の広報よこはま特集号を使ってのIR誘致の必要性を訴える内容のものが新聞に折り込まれました。『横浜イノベーションIR 202Ⅹ未知なるリゾートへ』と題され、よく読むと、新型コロナ感染拡大前と全く変わらない内容となっています。世界のカジノ業界はコロナパンデミックで四苦八苦のさ中です。IRの実現で「第二の開国」、「アジアを代表するMICE都市を」などとIRの意義を識者に語らせていますが、今後も新たなウイルス感染症流行が発生しうるという世界の常識でさえ否定したもので、市民をミスリードするための作為的なものと言えます。
しかも、特集号にはIRカジノによって得られたお金は、「将来見込まれている税収源や収入不足を補い、財政改善につなげる」と市民の豊かな暮らしを支えるものとしています。それでは、一体どれくらいの額になるのか計算のもとになるIRカジノの経済効果について、党の予算代表質問に対して林市長は「IRカジノの経済効果については具体的な提案を選定した後に区域整備計画の中で示す」と答弁しました。事業者から、何も経済効果の根拠を示されていません。市長が、コロナ後のIRカジノ事業の採算性についての数字的根拠を一切持ち合わせていないという無責任な態度をとっているということを、ぜひ知っていただきたいと思います。これがどういう意味を持つかというとIR事業自体が大博打であるとの宣言なのです。こんな恐ろしいことに市民が巻き込まれるのは、本当にごめんです。
一体どこを見ているの?
上瀬谷通信基地跡地のテーマパーク構想、新劇場など大型開発優先が際立ち、一方で水道料金、国保料・介護保険料を値上げします。市民生活を後景に追いやり、政府のやること以外はやらない市政だということと、市民よりも国の方ばかり見ているという横浜市長の姿が露わになりました。
市民の声を聞かない市長と議会を変えることが必要と改めて痛感しました。
今後も市政の現状や議会の様子、日本共産党市議団の取り組みなどを市政報告会、懇談会、訪問などを通じてお知らせしてまいります。
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