飼い主がおらず保護団体に引き取られた猫と暮らす賃貸物件の普及に、東神奈川の不動産業者が取り組んでいる。生活環境の変化を見越して飼育に踏み切れない単身者や終生飼育が難しい高齢者などが、入居中のみ「預かりボランティア」として一時保護に協力できる仕組みを構築。手放された保護猫の居場所づくりに一役買うことで、保護団体の活動支援にもつなげる。
フロンティアハウスが販売する「ねこネクト」は、自宅の一部に単身者向けの貸室を設けた戸建てタイプの賃貸併用住宅。入居者は、保護猫を一時預かりという形で飼うことができる。
商品展開にあたり、同社は保護猫の譲渡活動を行うNPO法人東京キャットガーディアンと連携。入居者は面談・審査を経て、同法人が世話をしている保護猫を迎え入れて共同生活を送る。同法人の山本葉子代表は「引き取り手を見つけるのに時間がかかる高齢猫の一時預かりの場になれば」と期待し、入居者が希望すれば猫の譲渡にも応じるという。
専用設備が充実
ねこネクトには、猫との暮らしを想定したさまざまなアイデアが光る。今年6月に完成した第1号となる座間市の物件は、賃貸部分の玄関とリビングの間に逃走防止用のドアを設け、フローリングは足を滑らせないようざらつきのある素材を採用。リビングと洗面所を仕切る扉には猫が行き来できる専用ドアを設け、備え付けの収納シェルフはキャットタワーとしても利用可能だ。
商品を企画した飯塚謙太さんは、自身も実家で保護猫を飼っていた経験を持つ。就職を機に一人暮らしを始める際にも保護猫を引き取ろうと考えたが、「そもそもペット可の物件は数が少ないだけでなく、築年数が古かったり立地が不便だったりして入居しづらかった。それなら、初めから保護猫と暮らせる環境が整った家を造ろうと考えました」と話す。
アイデアで差別化
賃貸市場では物件の設備や構造などをアピールする事業者が多い中、同社は「保護猫との共生」というコンセプトで差別化を図る。飼育経験がない人や転勤などで飼い続けられるか不安な人でも気軽に保護猫を迎え入れられるため、「1人でも多くの人に猫との暮らしを楽しんでもらえたら」と飯塚さん。保護猫解消の一翼を担いながら、安定した入居率を求める物件所有者と借主の希望にも応える「三方よし」の住まいを目指している。
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