市民活動の財政面を支えるため、寄付金集めを支援する「公益般財団法人かわさき市民しきん」が今月末、クラウドファンディングを始める。インターネット決済により、従来よりも迅速で透明性の高い支援を目指す。
地域課題解決のために活動する市民団体が抱える課題の一つが活動資金だ。同財団はこうした課題に対し、資金調達を市民からの寄付によって運営を維持できるよう2015年に設立された。
今回始まるクラウドファンディング「かわファン」は、地域課題解決のアイデアや取り組みたい事業があれば、その内容や目的を明記し、寄付金の目標金額を設定する。その賛同者はウェブサイトから寄付することで、事業を支援できる仕組み。寄付金の募集期間が終われば、事業登録者へすぐに寄付金が振り込まれる。寄付者は共感できる事業内容を吟味でき、事業登録者は活動資金を迅速に入手できる。
同財団では、事業内容に共感した人から寄付を募る仕組みとして「事業支援しきん あとおし」を行っていた。しかし、書類申請など文書でのやり取りが多く、寄付対象事業の募集は年1回。取り組む団体が寄付金を利用できるまでに1年を要し、事業審査のハードルも高かったという。
代表理事を務める廣岡希美さんは「設立時に比べてクラウドファンディングの手法も広く認知された。川崎を良くしたいという人たちが、もっと気軽に参加できるようにしたかった」と立ち上げへの思いを話す。
これまでに同財団の支援を受けて寄付を集めた市民団体は14団体。中学生向け暴力防止プロジェクトに取り組む団体や、障がいのある人とない人がダンスを通じて触れ合うダンス団体などが対象となってきた。区内を中心に活動する「なかはらミュージカル実行委員会」もその1つ。発足から7年目、助成金を受けない自主運営事業になったのを機に利用した。実行委員長の奥平亨さんは「対象事業に選ばれ、認めてもらえたような感覚になった。地域のために、という想いが(市民しきんと)同じだったので、寄付を募るプレゼンパーティーで地元の支援者に会えたのは、ならではの取り組みだった」とその手応えを振り返る。
「かわファン」の運営費は集まった寄付金の15%を手数料として差し引く。事業内容は公序良俗に反するものや、市外が対象となる物、利益を第一目的とする事業は不可。寄付を募る事業に相応しいか諮るため、外部機関による事業審査は継続される。
理事の山本美賢さんは「まちの小さな課題でいい。気軽に参加できる仕組みを、寄付する人とされる人と、我々みんなで育てていきたい」と話している。
宮前区版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|