JFEスチールは、東日本製鉄所跡地利用に関し、3月19日に川崎区南渡田のJFEスチール研究所の敷地内で土地利用転換事業着手式を行った。約400haに及ぶ京浜地区大規模土地利用転換にあたり、同社の岩山眞士専務は「次の百年を担う産業や新たな雇用を創出し、地域社会の持続的発展に貢献したい」と述べた。着手式には関係者の他、持ち株会社JFEホールディングス(東京都)と「土地利用に関する協定」を締結した川崎市の関係者、川崎商工会議所の草壁悟朗会頭らが出席した。
神事後に施主代表で挨拶した岩山専務は、「ヒューリック社と共同で、このエリアを革新的マテリアルを生み出す研究機能の集積地に転換し、2027年度中の街びらきを目指す。平たんな道のりではないが、地域と連携を深め、世界に誇れる街づくりを進めたい」と抱負を語った。
費用など課題山積
公表された「南渡田エリア北地区北側まちづくりイメージ」によると、約5・7haの敷地を同社が約7500億円を投じ基盤整備し、ヒューリック側がビル数棟を建設。JFEスチール研究所やJFEテクノリサーチ、ヒューリックの研究棟などが入居予定で、研究開発機能を中心に研究者の住居や商業施設なども併存する複合的な街づくりを構想する。
市の試算では、再開発が完了予定の50年までに、官民による扇島地区への投資額は2兆600億円を見込む。4月からは高炉や工場建屋などの解体工事が始まる。岩山専務は「基盤整備などにかかる莫大な費用を、国費など公的な補助を頂きながら調達していく必要がある。全体が工業専用地域となっている扇島の土地用途の変更や、高速道路のインターチェンジ新設や鉄道の最寄り駅周辺整備など、課題は山積している」と厳しい表情を見せた。
一方、着工から40年でようやく完成間近と言われる横浜のみなとみらい地区に言及し「186haで40年かかった。こちらの規模はひと回り広いが、何とか50年までに転換したい」と述べた。