川崎沖縄県人会(川崎区中島/比嘉孝会長)が今年、創立90周年を迎えた。もともとは大正期に川崎に移り住んだ沖縄出身者の交流を目的としていた同会だが、近年は出身地にこだわらずに会員を集め、首都圏での沖縄の文化や歴史の発信に注力している。5月25日(日)には舞踊や民謡などのステージが繰り広げられる「90周年記念公演」を開催する。
出稼ぎ工員が結成
川崎沖縄県人会は1924年(大正13年)、中島にあった「富士瓦斯紡績」で働いていた沖縄からの出稼ぎ労働者たちによって結成された。以来90年間、同郷出身者の親睦と連帯を深めるとともに、彼らが故郷を懐かしんで踊り、歌った舞踊や民謡の伝承にも尽力してきた。1950年に「川崎沖縄芸能研究会」を創設したこともあり、「沖縄民俗芸能」は52年に川崎市、54年には神奈川県の無形文化財に指定されている。
また、沖縄の支援活動も行ってきた。59年に発生した宮古島台風の際には災害救援のための募金活動の先頭に立ち、市議会議員らとともに川崎市内で総額358万円を集めた。JR川崎駅前にある石碑「石敢當(いしがんとう)」はその返礼として、沖縄から贈られたものだ。
「県人の明るさ伝えたい」
現在、同会には約250世帯が所属。最近では音楽やドラマなどから沖縄の文化や歴史に関心を持つ人が増え、県人会が主催する舞踊や民謡、三線の教室への参加者も増加している。それに伴い、沖縄に血縁のない人が県人会に加入する例も少なくないという。「10年くらい前から右肩上がりに人気が上がっている」と比嘉会長。ニーズの高まりを受け、文化や歴史の発信にさらに力を入れ始めた。
昨年3月からは毎月1回、沖縄文化のステージ「綾心〜あやぐくる〜」を開催。伝統舞踊「エイサー」を学べるサークルも独自に立ち上げた。近隣の高校や大学などで沖縄の歴史を語る講演も定期的に行っている。
90周年を迎えるにあたり比嘉会長は「10年後に迎える100周年に向けて、現在行っている活動をしっかりと継続していきたい。文化の発信を通じて、沖縄の人特有の明るさやおおらかさを、川崎一円の多くの人に伝えていきたい」と意気込んでいる。
25日に記念公演
県人会は5月25日、90周年の節目を祝うとともに、より多くの人に沖縄文化の魅力を伝えようと、サンピアンかわさき(市立労働会館)で記念公演を開催する。
当日は琉球舞踊や民謡、エイサーの披露があるほか、終演直前には出演者と観客全員で手踊り「カチャーシー」を踊る。チケットは前売り3000円、当日3500円。午後1時30分から5時まで。チケット購入や県人会についての問い合わせは県人会事務局(【電話】044・233・8584)または比嘉会長(【携帯電話】090・3239・4711)へ。
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